2013年も残すところあとわずかとなり、せわしない毎日が続いていることだろう。この時期の恒例行事ともいえるのが年賀状の作成。最近ではメールやSNSで年始の挨拶を済ませてしまう人も増えてきたが、やはり真心を込めるという意味で年賀状に勝るものはない。その年賀状に関して実に興味深い調査結果が発表された。実は“喪中である人も年賀状を待っている!?”という内容だ。

意外や意外、喪中のときに年賀状を受け取っても礼を欠かない!?

まず、相手が喪中であることを知る手段は、多くの場合が「喪中はがき」ということになるだろう。実際、株式会社ネオマーケティングが行ったインターネット調査では、回答数455のうち94%以上が、喪中を人から知らされる手段として喪中はがきを挙げた。ではこの喪中はがきとは何を意味するのだろうか。

そもそも喪中とは、近親者が亡くなった際、その故人の死を悼み、身を慎まなければならない期間に入っていることをいう。基本的にはおめでたいことを避けるため、新年を迎える場合、松飾りは控え、初詣には行かず、年賀の挨拶を行わないというのが一般的な対応となる。喪中はがきとは、この“年賀の挨拶を行わない”ということを知らせるためのもので、正式には「年賀欠礼状」という。

さて、この喪中はがきだが、その記載表現により受け取った人が誤解してしまうことがよくある。仮に「父の喪中につき年賀のご挨拶はご遠慮申し上げます」という表現があった場合、これは“喪中にある人が挨拶を行わない”ということであって、喪中の人が年賀状を“受け取る”ことはマナー違反にあたらない。喪中はがきを出す人は「皆さまからの年賀状は励みにもなりますので、例年どおりお送りくださいませ」といった一文を添えておくのがよいだろう。このあたりの表現は、「郵便年賀.jp」のサイトにも文例が掲載されているので参照してほしい。

一方、喪中はがきをもらった人は、どうすればよいのか? 前述の調査でも、喪中を知らされた相手には“何も出していない”という回答がもっとも多く、64%を超えている。 喪中の方に対しては、新年を喜ぶ年賀状というよりは、年始に出す「喪中見舞い」「年始状」という性格のものと考え、「あけましておめでとう」や「謹賀新年」という言葉は使わず、お悔やみの言葉、相手を気遣う言葉、近況などを伝えるとよい。

寂しいときこそ年賀状で相手を励ます!

年賀状はみんなの幸せを願うものだというテリー伊藤さん

喪中はがきを出した人は、その年始に届く年賀状が極端に減ってしまう。ただでさえ、近親者が亡くなり寂しい思いをしているのに、それに輪をかけるような寂しいお正月になってしまうのだ。そんな相手を励ます意味合いで、喪中の方にも年賀状を送っている人がいる。演出家でタレントのテリー伊藤さんだ。

「広島に住んでいた親友の奥さんが亡くなったことがありました。最後、入院している時に、広島までお見舞いに行きました。でも、亡くなってしまった。そういう時、喪中ということで、普通は年賀状を書かないというんですが、僕は書きたかった。だから、あえてそういう想いを年賀状にしたためて出しました。『こういう時は遠慮するってわかってたけど、書きたかった』と。そうしたら、『ありがとな』って返事がきて、本当に切なかったですね。でも、そういうやりとりも年賀状にあっていいと思います。喪中だから一律に書かないっていう習慣はおかしいと思うんですよ。2月に亡くなって、正月だと1年近くたっているんですから。喪中で遠慮するという風習は考え直してもいいんではないかと思っています」 と、テリー伊藤さんは話す。

実際にインターネット調査でも、喪中であっても年賀状が“ほしい”と答えた人は約6割を占めた。この傾向は男性よりも女性、また若い世代に強く表れており、20代では7割以上の人が“ほしい”と答える結果となった。

喪中はがきをもらうと、その相手に気を遣って年賀状を出さないと考えがちだが、実はそれは間違いなのかもしれない。本当に親しい相手には、寂しがっているときにこそ、真心のこもった年賀状で励ますのが正解だろう。