JR西日本はこのほど、今後実施する車両の新たな安全対策について発表した。車両異常挙動検知システムや先頭車間転落防止ホロの導入などがおもな内容となる。

先頭車間転落防止ホロを装備した車両(521系3次車)

車両異常挙動検知システムは、万が一の脱線時にいち早く脱線を検知して列車を停止させるとともに、防護無線を発信し、緊急停止信号で周囲の列車も止めるシステム。列車の加速度をもとに脱線や衝突などの異常な挙動を検知し、緊急列車防護装置(TE装置)を自動的に作動させるという。TE装置の作動により、非常ブレーキが作動するとともに周囲の列車に対して緊急停止を伝える防護無線が発信されるほか、パンタグラフの降下、汽笛の吹鳴、信号炎管の点火が自動的に行われるという。

今後導入する在来線電車・気動車に標準装備されるのをはじめ、既存の在来線電車・気動車にも整備を進めていくとしている。

先頭車間転落防止ホロは、駅ホームからの転落事故を防止するための設備。中間車両間の連結部については従来より転落防止ホロの整備を進めていたが、先頭車同士の連結部については、技術的な面などで課題が多く、未整備のままだった。

しかし、実際には先頭車同士の連結部の方が幅が広いために転落の危険性が高く、2010年12月には舞子駅で連結部への転落事故が発生。JR西日本ではこれを踏まえ、先頭車間連結部での前照灯の点灯や音声警報装置の装備(一部の車両のみ)などの暫定的な対策を実施。その一方で、先頭車間連結部用の転落防止ホロの開発を進めてきた。

このたび開発された先頭車間転落防止ホロは、さまざまな工夫により、従来課題となっていた運転席からの視野の確保、車体自動洗浄機への対応、走行時の抵抗・騒音の低減、着氷雪の抑制といった条件をクリア。一部を除き、今後の新製車両に標準装備することを検討しているという。