東京工業大学(東工大)は11月21日、同大の次世代スーパーコンピュータ(スパコン)「TSUBAME 3.0」の実現に向けた要素技術の研究などを行うスパコン「TSUBAME-KFC(Kepler Fluid Cooling)」が、スパコンの電力性能(速度性能値/消費電力)を測るランキングである「The Green 500 List」の2013年11月版において世界1位を獲得したことを発表した。

また、併せて、ビッグデータ処理の省エネルギー性を競うために2013年より開始された「The Green Graph 500 List」のビッグデータ部門においても世界1位を獲得し、省エネに関するスパコンランキングで2冠を達成した。

TSUBAMEシリーズは、NVIDIAのGPUを活用することで消費電力を抑えながら、高い演算性能を実現してきており、最新世代となるTSUBAME 2.5ではKepler世代のGPUを搭載することで、スパコン性能ランキングTop500の2013年11月版で世界11位にリストアップされるほどの性能を達成している。

TSUBAME-KFCは、将来的なTSUBAMEシリーズにおける要素技術の開発に向けたテストベッドシステムで、思いスパコンの消費電力そのものの削減と、それにかかる冷却電力の削減を目指し、計算機システムを循環する油性冷却触媒の中に浸して、冷却するするという油浸冷却技術および冷却塔による大気冷却の組み合わせによって少ない消費電力で冷却できるような設計が施されている。

TSUBAME-KFCを収容するコンテナ。左奥にクーリングタワーが見える

クーリングタワーと2次冷却水のポンプと配管

システムは、40台の計算ノードとそれらを接続するFDR InfiniBandネットワークで構成されており、各計算ノードは1UサイズのサーバにIntel Xeon E5-2620 v2プロセッサ(Ivy Bridge EP)を2基、NVIDIA Tesla K20X GPUを4基搭載した高密度なものとなっており、この40ノードを1つの油浸ラックに収容している。システム全体の理論ピーク演算性能は217TFlops(倍精度)で、今回の受賞理由となった1Wあたりの演算性能は4,503.17MFlopsとなっている。

また、TSUBAME2.5も、今回のThe Green 500 Listで世界2位を獲得しており、TSUBAMEシリーズの省エネ性が示されたこととなった。

油浸冷却されているTSUBAME-KFCの様子。TSUBAME-KFCの開発には、NEC、NVIDIA、Green Revolution Cooling、Supermicro、Intel、Mellanoxなどが関わっている