JR東日本はこのほど、今年3月に奥羽本線(秋田新幹線)神宮寺~刈和野間で発生した列車脱線事故の再発防止対策を発表した。

脱線防止対策の一環として新設された防雪柵

秋田新幹線と在来線が並行する区間で3月2日に発生したこの事故は、吹雪によって生じた雪の吹き溜まりが原因のひとつではないかと見られており、同社は社外専門家を交えた脱線調査・対策専門委員会を設置。調査と再発防止に向けた検討を行ってきた。その一環として、神宮寺~峰吉川間では8月から吹き溜まりを防ぐための防雪柵の設置工事が行われており、12月末までには完了する予定。

今回発表された再発防止対策は、防雪柵の新設も含め、雪害を未然に防ぐことに主眼を置いた内容に。事故現場付近の線路では、除雪幅を従来より最大90cm拡大して除雪を行うなどして除雪の強化を図る。また、積雪によって列車が本来よりも速度を落とさざるをえない場合など、運行が困難になると予想される場合は、運転士からの情報をもとに、一時的に列車の運転を取りやめ、除雪を行うことを定めている。

その際の判断の目安となる速度も新たに設定し、新在直通区間で試行するという。これにより、積雪などによって列車の速度が基準値以下になった場合には運行を中止し、除雪を優先する体制となる。その他、沿線に新たに定点カメラを設置し、カメラからの画像情報が列車運行や除雪実施の判断に活用できるかなどを検討するとのこと。

なお、運輸安全委員会による調査結果が公表され、さらに新たな対策が必要となった場合、それにも対応するとしている。