白色矮星の新星爆発(矢印)を捉えた撮像画像(左)と想像図(右)
(提供:理化学研究所)

太陽ほどの質量をもった恒星が年老いて表面で爆発を起こし、“火の玉”状態になったときの現象を世界で初めて観察することに成功したと、理化学研究所や宇宙航空研究開発機構(JAXA)などの研究チームが発表した。国際宇宙ステーションの日本実験棟「きぼう」に備えた観測装置で特徴的なX線の閃光を捉えたもので、従来の天体理論の見直しが必要になるという。

研究チームは2011年11月11日、「きぼう」の船外に取り付けた全天X線監視装置「MAXI(マキシ)」によって、地球から22万光年離れた小マゼラン星雲の東端に出現した天体を発見した。この天体は、紫外線よりも波長の短い“軟X線”の非常に明るい閃光を1時間ほど放った。

米航空宇宙局(NASA)の衛星協力も得て、さらに観測や分析をした結果、この天体は、核融合反応の燃料の水素を使い果たした「白色矮(わい)星」で、近くにある大きな質量をもった若い恒星とペア(連星系)を組んでいた。観測された閃光は、ペアの恒星から供給された水素ガスが天体表面で爆発する“新星爆発”を起こし、その直後に天体を包み込んだ“火の玉”状態から放出されたものと分かった。

さらに、閃光は通常の新星爆発の約100倍も明るいこと、爆発ガスにネオン元素が大量に含まれていることなどから、発見した天体は、「太陽質量の1.4倍」という理論値ぎりぎりか、それを超えるほどの大質量の白色矮星である可能性が高いという。

なお、今回の「新星爆発」と似た現象に「超新星爆発」がある。「新星爆発」が白色矮星の表面だけで起きる現象、「超新星爆発」は白色矮星や恒星自体が爆発で吹き飛んでしまう現象で、2つは異なる。

研究論文“Extraordinary luminous soft X-ray transient MAXI J0158-744 as an ignition of a nova on a very massive O-Ne white dwarf”は、米国誌『Astrophysical Journal』(12月1日号)掲載前にオンライン版に掲載された。

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