POV-Ray - The Persistence of Vision Raytracer

POV-Rayの最新版「POV-Ray 3.7」の公開が開始されているが、このバージョンからライセンスがAGPLv3へと変更された。細かいバグ修正やSMPをサポートするための内部構造の変更などが実施されたバージョンだが、もっとも注目されるのはライセンスの変更にある。FSFの定義に従えば「POV-Ray 3.7」は「Free Software」と呼べるだろうと説明がある。

POV-Rayはこれまでも「GENERAL LICENSE AGREEMENT -- POVLEGAL.DOC」のライセンス、いわゆるPOV-Rayライセンスのもとでオープンソースソフトウェアとして公開されてきた。しかし、POV-Rayライセンスの説明する内容の適用範囲に関して議論があり、ライセンスの法的な適用範囲に関しては理解が難しいところがあった。今回、より広く採用されているAGPLv3が採用されたことで、ライセンスに関する理解が従来よりも進むものとみられる。

これと同じような問題はオープンソースソフトウェアの採用が進むにつれて顕著になってきた。多くの「オープンソースライセンス」と自称するライセンスが発表されたが、それが実際にオープンソースライセンスといえるのか、ほかのオープンソースライセンスとの関係はどうなるのか、そのライセンスの内容は法的に適切かどうかなど、開発者やユーザにとって困難をともなうことが多かった。現在ではこうした細かいライセンスを採用するのではなく、より広く採用されている代表的なライセンスを採用する取り組みが増えている。