ニコンは11月11日、研究用倒立顕微鏡「ECLIPSE Ti」シリーズ向けに、さまざまな蛍光照明モジュールを任意に組み合わせることができる「レーザーアプリケーションシステム Ti-LAPP」を発表した。

バイオイメージング分野では、全反射蛍光観察ができる顕微鏡の登場以来、生細胞を用いた細胞膜の研究や一分子蛍光観察が盛んに行なわれるようになった。また、光刺激により、細胞内のタンパク質の移動や、光感受性タンパク質を用いた神経細胞ネットワークの観察なども行なわれている。このように、細胞の複雑な機能を解明するための観察手法は多様化、複雑化している。

同製品は、顕微鏡を使用した落射蛍光観察、全反射蛍光観察、光刺激それぞれの機能をモジュール化したもの。これにより、研究用倒立顕微鏡「ECLIPSE Ti」シリーズに各モジュールを任意に組み合わせることで、多様な観察手法に対応できる。用途に応じた顕微鏡機能の変更や追加を容易にすることで、倒立顕微鏡を用いた最先端の研究をサポートする。

例えば、光刺激装置「DMDモジュール」、TIRF照明装置「H-TIRFモジュール」、蛍光照明装置「EPI FLモジュ-ル」の3つを組み合わせることで、落射蛍光観察や全反射蛍光観察をしながら光刺激を行なうことができる。また、研究用倒立顕微鏡「ECLIPSE Ti」シリーズの階層構造を活用すれば、1台の顕微鏡で実現できる観察手法はさらに広がる。これらのモジュールは組み換え、追加が可能であり、ユーザーの研究段階に応じてシステムを変更することもできる。

階層構造併用の組み合わせ例。「DMDモジュール」と「H-TIRFモジュール」、「EPI FLモジュ-ル」の組み合わせ

「H-TIRFモジュール」は、別売りの画像統合ソフトウェア「NIS-Elements」を使用することにより、標本に対するレーザー入射角度やエバネッセント光の染み出し深さの条件を自動で調整することができる。また、これらの設定条件の個別調整や保存、呼び出しなどができるため、任意の観察をスムーズに行なうことができる。

TIRF照明装置「H-TIRFモジュール」

光刺激装置「DMDモジュール」は、「NIS-Elements」を使用することで、複雑な細胞の形や蛍光タンパク質が局在する位置に合わせて任意の位置・範囲で同時に多点への光刺激を行なうことが可能となっている。

光刺激装置「DMDモジュール」

なお、価格は「H-TIRFモジュールセット」が333万2700円から、「DMDモジュールセット」が718万6200円から、「H-TIRFモジュール」と「DMDモジュール」セットが915万3900円から。2014年2月より発売する。