浜松ホトニクス(浜ホト)は11月5日、従来品に比べ、ほぼ同等の性能を維持しながら、体積と価格を半分以下とした指先サイズのマイクロ分光器「C12666MA」を発表した。

同製品は、色管理や色計測用途に適した波長範囲340~780nmの可視光を測定する、世界最小サイズの分散型分光器となっている。独自のMEMS技術とイメージセンサ技術の融合により、貫通スリットを一体化したCMOSセンサとナノインプリント技術により成型した反射型凹面グレーティング(回折格子)を配置することにより、体積を約2.5cm3、質量を5gに抑え、価格も1/2以下を実現した。また、金属のCANパッケージでハーメチックシールを採用することで、堅牢性と湿度に対する高い信頼性も確保されている。

具体的には、入射スリットを通過した光が、反射型凹面ブレーズドグレーティングにて分光され、スリット付きイメージセンサの受光面表面に結像されるように光学設計されている。入射スリットはCMOSイメージセンサに一体形成されており、CMOSイメージセンサ受光部に対して高精度な位置決めがなされている。さらに、凹面グレーティングで分光・結像された光信号を電気信号に変換して出力する。分光器では、多重反射光や測定光以外の回折次数の光が迷光成分となるが、CMOSイメージセンサの受光チップ上にカットフィルタを直接形成することで迷光を除去している。CMOSイメージセンサの各画素には分光された波長の光が入射し、それに対応した電気信号を出力して分光器として機能するという。

用途は、印刷機器や各種大型ディスプレイのLED照明の色管理のほか、超小型で低価格な特長を活かして、スマートフォンなどの携帯端末と接続して分光測定を行うPOCT(ポイントオブケアテスティング)などのモバイル測定器への組み込みなど、さまざまな新しい分光器応用に発展することを期待しているとしている。この他、同製品を簡易的に評価するための評価用モジュールが用意されている。同製品と付属のUSBケーブル、評価用ソフトウェアを使用して特性を評価することができる。12月25日より発売する。

従来品「MS」シリーズ(左)に比べ、同製品は1/2以下に小型化(右)

従来品(左)と同製品(右)の構造の比較