東京ガスと三菱重工業(MHI)は10月28日、発電出力1000kWのガスコージェネレーションシステム(ガスコージェネ)を共同で開発したことを発表した。両社は11月1日から本製品の販売を開始します。

同製品は、従来品である「930kWガスコージェネレーションシステムGS16R」をベースに開発されたもので、ガスエンジンを従来品の1500回転/分から1000回転/分へ低回転化することで、部品の摩耗速度を低下させてメンテナンスの周期を延長することに成功。これにより、従来品比で、潤滑油交換などの最小メンテナンス周期を約1.5倍、解放点検周期(トップオーバーホールド)が約1.9倍伸ばすことが可能となり、メンテナンスコストを約30%低減させることが可能になるという。

また、シリンダ内をピストンが上下する行程距離(ストローク)を従来品よりも約20%長くすることなどにより、エンジンを低回転化させながらも発電出力を増大させることに成功。加えて、従来品で使用されていた制御技術をさらに高度化することで、シリンダに混合気を圧縮して供給する過給機を高効率化することが可能となり、シリンダ内の混合気の充填率を増加させ、平均有効圧力(1サイクルの排気量あたり仕事量)を従来品比で約30%向上。これにより、エンジンの低回転化をしながらも、発電出力は定格1000kWクラス、発電効率42.3%を実現したほか、混合気を冷却するためのインタークーラを従来品の1段から2段に増やした2段インタークーラの採用などにより熱回収効率を向上させることで総合効率も78.5%を達成したとする。

同社では、こうしたメンテナンスコストの低減と発電効率および総合効率の向上により、導入費用を投資回収するための期間(投資回収期間)も従来品比で3年程度短縮することが可能になるとしている。

さらに、機器本体の全幅を従来品比で約15%削減となる2500mmとすることで設置性を向上させたほか、一般的に高出力化・高効率化により必要換気量の増加や補機類の容量増加が発生するが、機器本体内部の配置を見直すことで設置に必要な面積を従来品と同等とすることにも成功したとしている。

なお、両社では、同製品を再開発物件などの業務用大規模施設から、中小規模の工場などの産業用途まで、幅広い顧客に提案し、コージェネレーションのさらなる普及拡大を目指すとしている。

発電出力1000kWのガスコージェネレーションシステムの外観

発電出力1000kWのガスコージェネレーションシステムの構成図