本田技研工業(ホンダ)は10月30日、同社子会社で太陽電池事業を手がけるホンダソルテックの事業を2014年春に終了し、太陽電池の製造・販売から撤退すること、ならびに、車載ECUなどの開発・製造などを手掛けるホンダエレシスの株式のホンダ保有分すべてを、日本電産に譲渡することを決定したと発表した。

ホンダソルテックは2006年12月に設立され、ホンダエンジニアリングが開発したCIGS薄膜太陽電池の製造・販売などを行ってきた。CIGS薄膜太陽電池は、製造過程における使用エネルギーが少ないほか、幅広い太陽光に反応する性質を有しているため、影、熱、天候などの影響を受けにくい太陽電池として、設立当時は高い製品競争力を有していたが、その後、太陽電池の主力であるシリコン結晶系太陽電池の価格が下落、ソーラーパネル業界全体で激しい価格競争が起き、当初の事業計画達成の見込みが立たなくなったことにより、事業継続は困難と判断したことが撤退理由だという。

ホンダソルテックは2014年春に事業を終了し、解散する予定で、受注も2014年2月中旬で終了となる予定。これまで販売してきた同社の太陽電池システムのアフターサービスについては、ホンダの関係会社であるホンダ開発が窓口となり、引き続き従来同様のサービスの提供を行っていくとするほか、再生可能エネルギーの普及に向け進めている発電/売電、家産家消による循環型エネルギーマネージメントを目指したスマートホームシステムの研究開発などは継続して行っていくとしている。

一方のホンダエレシスは、2002年に、車体制御エレクトロニクス領域の強化を目的に、日本電気、ショーワ、日信工業との共同出資という形で設立され、車載ECUの開発・製造などを行ってきており、設立以来着実に売上高を伸ばしてきたという。

しかし、近年の自動車分野ではコストダウンや燃費向上、軽量化などの要求からメカトロニクスからエレクトロニクスへのシフトが進んでおり、今回、今後のさらなる成長および顧客層の拡大を図るため、モーター・アンド・アクチュエーター技術では世界トップレベルの技術を有する日本電産と一体化することを決定したとしており、これにより、ホンダにとっても日本電産がさらに競争力の高い取引先となることが期待されるとしている。

ホンダソルテックが製造・販売を手掛けているCIGS薄膜太陽電池