日本たばこ産業(JT)は30日、国内たばこ市場の縮小を受け、静岡県などにある国内のたばこ関連工場4カ所を閉鎖するとともに、本体社員の約2割に当たる1,600人を削減すると発表した。

同社によると、国内たばこ事業を取り巻く環境は、高齢化や健康意識の高まりなど構造的要因に加え、たばこ税増税や喫煙規制の進展などを背景に、非常に厳しい状態が続いているという。

このような状況の中、同社は無煙たばこ「ゼロスタイル」など新商品の開発に向けた投資を行うとともに、コスト削減に取り組んできた。しかし、長期的に市場規模の減少傾向の継続が想定される国内たばこ事業において、持続的成長を実現するためには、競争力強化に向けた営業体制の再構築とコスト競争力のさらなる強化に向けた事業基盤を確立することが必要不可欠と判断し、今回の施策を策定したとしている。

たばこ製造工場の郡山工場(福島県・郡山市)と浜松工場(静岡県・浜松市)、たばこ材料品製造工場の岡山印刷工場(岡山県岡山市)については、2015年3月末をもって閉鎖する。たばこ原料工場の平塚工場(神奈川県・平塚市)については、2016年3月末をもって閉鎖する。

東日本原料本部(福島県・須賀川市)の一部機能(葉たばこ原料処理工程)を2015年3月末に廃止し、葉たばこ原料の調達機能に特化する。また、特機事業部(兵庫県・明石市)を2015年3月末に廃止し、たばこ自動販売機の開発、製造、販売から撤退する。

さらに、国内の営業拠点についても、2015年4月1日付けで現在の25支店から15支社に再編成し、エリア特性に応じた効果的なマーケティング戦略の立案・実行に取り組む。

これらの施策に伴い、国内たばこ事業およびコーポレート部門の社員を対象に1,600人規模の希望退職を募集する。退職時期は原則として2015年3月末を予定しているが、一部事業所については2016年3月末とする。

なお、今回の施策は2014年度以降に実施するため、2013年度業績への影響はないという。施策によるコスト削減効果は、2015年4月以降に発現すると見込んでいる。