川崎重工業は10月28日、医薬・医療向けロボット「MC004N」(画像1)と「MS005N」(画像2)の2機種を、2013年11月1日より新発売することを発表した。MC004NとMS005Nはどちらも垂直多関節ロボットで、軸数は前者が6軸で、後者が7軸となっている。

画像1。MC004N

画像2。MS005

医薬・医療現場では、人が介在することによる作業ミスや微生物が混入するリスク、また抗ガン剤などの高薬理活性医薬品の取り扱いによる曝露リスクを排除するため、ロボットによる作業自動化への要求が高まっている状況だ。そうした期待に応えるために開発されたのが、今回発表された2台のロボットというわけである。

MC004NとMS005Nは、アーム本体は人の腕のような、凹凸が少なくしなやかさをイメージした滑らかな表面となっている。また、狭隘部をなくし、耐薬液性の高い表面コーティング、高い防水性能による高い洗浄性を実現した高いサニタリー性も特徴だ。クリーニング作業が容易なので、汚染を防止することが可能だ。

国際標準化機構が定めたISO規格で「クラス5(米国FEDクラス100)」の清浄度を実現しているため、医薬・医療業界の生産ラインで必要とされる衛生面において優れたロボットになっている。

また、ツール用ケーブルをロボット先端フランジまで内蔵することが可能な中空構造を採用しており、従来はアームの外に沿う形だったケーブルとほかの周辺装置との干渉領域を最小限にすることができるため、狭い空間や周辺装置に載せて設置することも可能となっている。

個別の特徴としては、MC004Nはコンパクトさが挙げられる。全高が低い上に、可搬質量4kgを確保しながらも本体質量を25kgまで軽量化することに成功した。一方のMS005Nは、オールステンレス構造を採用している点が特徴だ。それにより、「VHP(H2O2ガス)」による滅菌や、アルカリ洗浄液に対して恒久的な耐性を有している。また、ガスケット・シール類もFDA(米国食品医薬品局)適合のものを使用している形だ。

仕様は以下の通り。

MC004N

  • 動作自由度:6軸
  • 最大リーチ:506mm
  • 最大可搬重量:4kg
  • 国内メーカー希望小売価格:380万円(税別)
  • 年間販売予定台数:200台

MS005N

  • 動作自由度:7軸
  • 最大リーチ:660mm
  • 最大可搬重量:5kg
  • 国内メーカー希望小売価格:1500万円(税別)
  • 年間販売予定台数:50台