自分のことをうまく話すには?

転職・就職活動、会社の中であっても、うまく自分の魅力を出せている人の周りには自然と人が集まるもの。自分をPRするためには、どうしたら良いのでしょうか。フリーアナウンサーの牛窪万里子さんにうかがいました。

自分のことがわかっていないと、話し方にも表れてしまう

牛窪さん:

私は現在、大学で自己PRの方法を教えています。全体的なイメージとして、まだ自分自身が何を希望しているのか、わかっていない方が多いという印象ですね。自信を持てていないので、言葉に迷ってしまい、表面的な話しかできない様子です。非常にもったいないですね。

自分自身が何をしたいのかは、今までのできごとを振り返るとわかると思います。まず過去をみて、自分の経験から得た宝物を探してから、未来のビジョンを持つようになれば、話し方にも自然と自信が出てくるでしょう。漠然としたイメージしか持っていないのであれば、OB訪問でも説明会でも行って、興味のある会社の先輩からアドバイスをもらうのが良いと思います。他人の話には、ヒントがあるはず。「自分に合う方向はこっちかも」と、探り出す手段になります。

その道のプロに見てもらって、世界を広げる

「相手の反応は、自分のコミュニケーションの成果」と牛窪さん

私自身を振りかえると、「自社の商品」に愛着を持てるメーカーに勤めたいと考え、たまたまサントリーという会社と縁がありました。ただ、最終的にはアナウンサーに転身しまして(笑)。

きっかけは、大きな組織で働く中で「自分1人の能力」とは何だろう? と考えたこと。何か「自分の力」を身に付けようと勉強を始めたのが、プレゼンテーションをうまくするための「話し方」でした。やっぱり「うまく伝わらない」ことで悔しい思いをする経験が多かったんです。上手になりたいと勉強したら、結局面白くなってしまってプロを目指しました。

そのときに通っていたNHKのアナウンスの先生に「あなたは向いてるから、もっとやってみたら?」と言われて、オーディションを受けました。今も続いていることを考えると、あのときの先生からのひと言で、自分の方向性を確信することができたのかもしれませんね。なので、その道のプロの方に見ていただくというのは大事だと思います。やっぱり自分だけの考えでは、世界が狭くなってしまいますから。自分の持つ資源を発見してほしいと思います。

無理に背伸びをしないで、自分を客観視してみよう

また、最近の学生さんに関して気になるのは、アルバイトなどで身に付けた接客言葉を使って面接で自己PRをしてしまうことです。「わたくしは●●でございます」なんて丁寧過ぎる言葉を使ったら、背伸びをしているようで、不自然な印象を持ってしまいます。就職活動で接する相手はお客様ではないですし、変に飾らずに話すのが良いと思いますよ。自分の話し方を携帯電話などで録音して、客観的に聞いてみるのも良いかもしれません。


牛窪万里子
元NHKキャスター、フリーアナウンサー、メリディアンプロモーション代表取締役。サントリーに勤務した後、フリーアナウンサーに転身。NHK「おはよう日本」、「首都圏ネットワーク」、テレビ東京「レディス4」などでリポーターとして活躍する。また、自身が代表を務めるメリディアンアナウンススクール講師としても活動。著書に『初対面の相手も、おもわず本音をもらすアナウンサーの質問レシピ』(総合法令出版)、『見るだけ30分!! あなたに合った「聞く」「話す」が自然にできる!』(すばる舎)など。