Texas Instruments(TI)は10月24日、スマートフォン、タブレットおよびアクセサリなどの電池動作時間を延長する超低消費電力マイコン「MSP430」ファミリとして、「MSP430F525x」を発表した。

同製品は、センサハブ、キーボード制御および電池/電源管理機能に使用することで、大電力を必要とするアプリケーションプロセッサおよびタッチスクリーンコントローラをスタンバイ状態にして、システムの電池消費を抑えることができる。また、外付けのレベルシフタなしで、アプリケーションプロセッサへのシームレスなインタフェースが可能な、1.8V電源レールI/Oアーキテクチャを搭載している。このため、I/Oを1.8Vで動作させながら、マイコンを最高の性能で動作させることができる。さらに、3.5μsの超高速ウェイクアップタイムと、最小1.6μAのスタンバイ時消費電流を備える。これにより、ポータブルの民生向け製品の電池動作時間を数時間から数日まで延長しながら、基板実装面積の縮小、およびシステムコストの削減を実現する。

同製品では、従来より提供しているソフトウェアおよびサポートを利用できることから、開発を迅速に開始できる。ソフトウェア「MSP430Ware」との互換性が提供され、製品開発の簡素化および市場投入期間の短縮に役立つ、多数のサンプルコードにアクセスできる。また、既存の「MSP430」との間でコードの互換性を提供することから、ポートフォリオ全体にわたって、より広い範囲のスケーラビリティを実現している。加えて、従来製品より内蔵SRAM、I/Oおよびシリアルインタフェースを追加していることから、複雑なセンサアルゴリズム、アグレゲーションおよび監視機能などの処理を、より高速に実行できる。

この他、4本のUSCI_Aおよび4本のUSCI_Bインタフェースを搭載しており、最大8本のシリアルインタフェース(4本のI2Cおよび4本のSPI)が使用でき、センサやペリフェラルデバイスとの間で高速、かつ堅牢な通信を実現している。また、4本の16ビットタイマ、高性能の10ビットA/Dコンバータ(ADC)、ハードウェア乗算器、DMA、コンパレータ、およびアラーム機能付きのリアルタイムクロックモジュールなどの低消費電力ペリフェラル群を搭載している。さらに、フラッシュ使用時に290μA/MHz、RAM使用時に150μA/MHzのアクティブ時消費電流を実現している。

「MSP430F525x」のうち、単一電源レール動作、128KBのフラッシュを搭載した「MSP430F524x」および「MSP430F523x」の8品種は、ワイヤレスの煙検知器、産業用センサおよびスマート家電をはじめとした、より大容量のメモリが必要な、各種の産業用アプリケーションに最適という。これらのデバイスは、ZigBeeおよびWi-Fiなどのソフトウェアに集中したワイヤレスインタフェースもサポートしている。

なお、「MSP430F525x」は供給中で、価格は1000個受注時で2.61ドルから。また、「MSP430F524x/3x」は同1.70ドルより設定されている。ターゲットソケット「MSP-TS430RGC64C」は同117ドル、ターゲットソケットおよびUIFエミュレータ「MSP-FET430U64C」は同175ドルで供給されている。

TIのスマートフォン、タブレットおよびアクセサリ向け超低消費電力マイコン「MSP430F525x」