Freescale Semiconductorは10月22日、ネットワーク分野のIPと専門知識をARMコアと組み合わせ、コアに依存しないシステムアーキテクチャ「Layerscape」をベースにした通信プロセッサ「QorIQ LS1」ファミリ3品種を発表した。

「QorIQ LS1」ファミリは、スマートフォンなどのバッテリ駆動型アプリケーションに採用されているARM Cortex-A7コアを2つ搭載、エラー検知/訂正技術を追加している。同社のプリシリコン分析(半導体製品を製造する前の段階で行う予測的分析)によると、デュアルCortex-A7コアにより、1GHzにおいて6000 CoreMarkを超える性能を実現しつつ、消費電力をSoC全体で3W未満に抑えているという。

また、「LS1」ファミリは、ファンレス組み込みアプリケーション向けに最適な組み合わせのペリフェラルと機能を提供。LCDコントローラ、内蔵SRAMの信頼性を高めるECC保護機能、DDR3L/DDR4メモリサポート、仮想化サポート、QUICC Engineテクノロジ、SATA3およびPHY内蔵USB 3.0などが組み合わせられている。

「LS1」ファミリは、すべてピン互換性/ソフトウェア互換性を備えている。3品種のうち、「QorIQ LS1020A」は、エンタープライズアクセスポイントや、マルチプロトコルIoTゲートウェイ、セキュリティアプライアンスなど、エンタープライズ用/民生用ファンレスネットワークアプリケーションに向けられた製品となっている。「QorIQ LS1021A」は、ディスプレイコントローラと産業用インタフェースが追加統合されており、ファクトリ/ビルディングオートメーションや、M2M、プリンタ、航空宇宙などのアプリケーションに適している。「QorIQ LS1022A」は、消費電力効率に優れた製品で、消費電力の制約が厳しい産業アプリケーション向けに高い信頼性を実現している。

開発においては、同社のTower Systemモジュール式開発プラットフォームによりサポートされる。同プラットフォームは、統合型オンボードプローブを備えているため、コストをさらに削減できる。また、Freescaleの組み込みボードソリューションパートナーが開発したサードパーティプラットフォームも利用できる。評価キットには、各種ペリフェラルをサポートする最適化済みドライバを含んだLinux 3.12 BSPと、CodeWarrior開発ツールの6ヶ月間の評価ライセンスが同梱されている。さらに、同社のソフトウェア「VortiQa」により、ゲートウェイやセキュリティアプライアンス、クラウド機器など、エンタープライズ/SMB用ネットワークアプリケーションを対象として、包括的なソフトウェアスタックが提供される。「QorIQ LS」シリーズは全て、同社の広範なサードパーティエコシステムによってサポートされている。

なお、「QorIQ LS1」ファミリは2014年第1四半期よりサンプル出荷を開始する予定。