Texas Instruments(TI)は10月21日、先進運転支援システム(ADAS)を構築し、道路における衝突事故を減少させるとともに、自律的な運転体験の実現に役立つ、自動車向けSoC「TDA2x」ファミリを発表した。

同製品は、高性能のビジョンアナリティクス、ビデオ、グラフィクスおよび汎用プロセシングコアなどを低消費電力動作で統合したことで、フロントカメラ、サラウンドビュー、およびセンサフュージョンをはじめとした幅広いADASアプリケーションを実現する。さらに、独自のVision AcclerationPacでは、DSP「TMS320C66x」世代のコア群を補完、より多くのADASアルゴリズム群を同時に実行できる。

「TDA2x」ファミリを使用することで、ADASアプリケーションを共通のアーキテクチャで使えることから、アルゴリズムへの投資を複数のシステムで共有でき、組み込みの自動車用ビジョンをフルに実現できる。また、ハイビームアシスト、車線追従アシスト、先進クルーズコントロール、交通信号認識、歩行者/物体検知、および衝突回避などのフロントカメラを使った各種アプリケーションを同時に実行できる。さらに、2D/3Dのインテリジェントなサラウンドビューおよび後方衝突警報をはじめとした駐車アシスト関連の各種アプリケーションも実現すると同時に、フロントカメラのために開発された歩行者/物体検知アルゴリズムも実行できる。加えて、レーダおよびカメラセンサのフュージョンデータを処理する中央プロセッサとしても使用できることから、ADASにおいて、より堅牢な意志決定機能を実現できる。

「TDA2x」は、TIの固定および浮動小数点DSPコア群「C66x」、フルプログラマブルのVision AcclerationPac、ARM Cortex-A15 MPCoreプロセッサ群、および2個のCortex-M4コア群の他、ビデオおよびグラフィクスコア群ならびに、多数のペリフェラル群を含む、多様でスケーラブルなアーキテクチャをベースに構築されている。Vision AcclerationPacは、低レベルから中間レベルのビジョン処理機能向けに開発されたもので、DSPおよびARMコア群の処理負荷を低減する。その結果、最適な性能を、最小限の消費電力レベルで実現した。

Vision AcclerationPacは、より高いコスト効率の先進ビジョンアナリティクス向けに、同一のパワーバジェットで、8倍を超える演算性能を提供する。また、広範囲なアルゴリズムの専門知識をベースに構築、およびADAS市場の動的なニーズに対応するように設計され、1個または複数個のエンベデッドビジョンエンジン(EVE)を搭載し、これまでにない特定目的向けADASアクセラレータが提供される。EVEエンジンは、最適化されたベクトルコプロセッサおよび、32ビットのプログラマブルRISCコアで構成され、柔軟な開発を実現する。さらに、これらのエンジンは複数のADASアルゴリズム群を、高い電力効率で、より高速、かつ同時に実行できる。

また、ユーザーが次世代ADAS機能を迅速に実現するために必要な、ツール群、ソフトウェアおよびサポートが提供される。これにより、ADAS市場において、製品の差別化が図れる。無償のソフトウェアライブラリ群およびフレームワークによって、最適化されたビジョンおよびイメージング機能の組み合わせが提供され、製品の開発期間ならびに市場投入期間を短縮しながら、「TDA2x」とVision AcclerationPacのアーキテクチャの利点がフル活用できる。この他、生産の立ち上がりの迅速化に役立つ、複数の開発ボード群のフルスイートの他、サポートも提供される。

現在、TIでは、ISO 26262機能安全標準規格に関連の各要件に適合する「TDA2x」の開発を進めている。サポートのための安全ドキュメンテーションは、デバイスのPPAP(製造部品承認プロセス)および量産化に伴って供給される予定。なお、「TDA2x」は、自動車メーカー向けにサンプル供給を開始している。

TIの自動車向けSoC「TDA2x」ファミリ