履けたブーツが夕方に脱げないことも……

ブーツが本番になるこの季節。朝はすんなり入ったブーツが夕方になるとファスナーが上がらない……などという経験はないだろうか。また、夕方になると脚が重たくなる、疲れるなど、むくみに伴う症状に悩んでいる女性は約5割もいると言われている。

原因はリンパではなく静脈?

「むくみ」というと、リンパの滞りと思っている人が多いかもしれない。リンパ菅には心臓のようなポンプ機能がないので、リンパ液が重力に伴って脚にたまってしまう、というのが定説だ。しかし、実はリンパが原因でむくんでいる人は全体のごく一部。大半の人は、リンパではなく「静脈の血流」の滞りが原因といえる。静脈とは全身から心臓に血液が帰ってくる血管のことで、その静脈から細胞の間に血漿(けっしょう)成分(水分)が漏れ出し、むくみとなっているのだ。

第二の心臓・ふくらはぎ

では、なぜ静脈の血流が滞ってしまうのか。それには、重力が大きく関係している。

心臓から動脈に流れて全身を巡った血液は、静脈を通して二酸化炭素や老廃物を回収し、再び心臓へと戻っていく。特に下半身は重力が影響し、心臓に血液を戻すためには大きな力が必要になる。そのサポート役を担っているのが、ふくらはぎなのだ。

歩くなど脚を動かすとふくらはぎの筋肉が収縮するが、その収縮がポンプ的な働きをして、スムーズな静脈の流れを作っている。同じ姿勢で立ったままや座ったままなど、ふくらはぎを動かさない状態では静脈の流れは滞り、むくみやすくなってしまう。運動不足、肥満、加齢などはふくらはぎの筋力を低下させるので、むくみの原因になると言われている。

そのむくみは病的要因かも!?

むくみというのは症状を示す言葉なので、そこに病気が隠れていることがある。大半の方は心配のないむくみだが、念のため下記でひとつでもチェックが入った人は、内科で診てもらうことをおすすめする。ひょっとしたら、腎機能や循環器系、甲状腺系のトラブルが隠れているかもしれないのだ。

・脚のむくみに、左右差がある
・以前はむくまなかったのに、最近急にむくむようになった
・手や脚以外がむくむ

また、脚の血管が網目状やくもの巣状に浮き出ている、ボコボコとうねったように血管が浮き出ている、皮膚の色が変化している、潰瘍(かいよう)ができている場合は、下肢静脈瘤(じょうみゃくりゅう)の可能性がある。その場合は、血管外科で診てもらうようにしよう。

そこで、誰にでもすぐにできるむくみの予防策を4つ紹介!

暇があったら散歩でふくらはぎの筋力アップ
40歳前後から脚の筋力は低下すると言われている。特に、女性は男性よりも筋力が少ないので要注意。ちょっと時間があったら、散歩する習慣をもつようにしよう。たまにジムで運動するよりもこまめに散歩する方が、下半身の筋力アップには効果的だ。下半身を鍛えておくことがむくみ防止の第一歩と言える。

定期的に足首を動かすことが大切

むくんだら、とにかく足首屈伸
「何だか脚が重たいな」「夕方になってむくんできたな」と思ったら、足首を曲げたり伸ばしたりしよう。足首はふくらはぎの筋肉と連動しているので、動かすだけでふくらはぎの筋ポンプを働かせることができる。立っている場合は、爪先立ちとかかとつけを交互にする。座ってやる場合は足首を屈伸させる。1時間ごとに15回ずつなどと決めてやると、むくみにくくなる。

水分量は関係なし。味が濃いものはNG
水分をたくさん取るとむくむというのは、医学的根拠はない。しかし、味が濃いもの(塩辛いもの)を多く取ると血液中の塩分濃度が上がり、血管外に水分をためこみやすくしてしまう。むくみが気になる人は薄味を意識しよう。

ゴキブリ体操でむくみ解決
重力の影響で手脚にたまった水分を逃がす、簡単エクササイズを取り入れてみるのもおすすめだ。

左が「ゴキブリ体操」、右が「逆自転車こぎ体操」

ひとつは「ゴキブリ体操」。名前は少々変だが効果は抜群! まず仰向けに寝て手足を上に持ち上げ、力を抜いた状態でリズミカルにブラブラとさせる。むくみや重たい感じがする部分がスッキリするまで、数分行うと効果的だ。もうひとつは、「逆自転車こぎ体操」。仰向けに寝て両脚を持ち上げ、自転車こぎの要領で脚を逆回転させる。

ただし、自分で解消しきれないと思ったら、ひとりで悩まずに心療内科などに相談するようにしよう。投薬で症状を緩和できる場合もある。

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