ALSの根本治療へ向けた手がかり - 東大など、新たな原因遺伝子を発見

東京大学は10月9日、運動神経細胞が進行性に脱落していくことにより、発症してから3~5年で全身の筋肉が動かなくなる難病「筋萎縮性側索硬化症(ALS)」の新たな原因遺伝子「ERBB4」を発見したと発表した。

同成果は、東京大学医学部附属病院の辻省次 神経内科教授および、日本、カナダ、フィンランド、米国、豪州の研究者で構成される国際共同研究グループによるもの。詳細は、「American Journal of Human Genetics」に掲載された。

ALSは、その5~10%が家族性で、残りが孤発性と考えられており、家族性ALSの一部を除いてはその原因が不明であり、現在に至るまで根本的な治療法は発見されてない。

今回研究グループでは、ALSの原因遺伝子として知られている遺伝子には変異が見られない、家族性ALSの一家系において、連鎖解析と次世代シーケンサーを用いた全ゲノム解析を組み合わせることで、新たな原因遺伝子としてERBB4を発見したという。

また、国際共同研究から、稀ながらERBB4遺伝子の変異を有する家系が人種を越えて存在すること、孤発性ALS の中にも新生突然変異(両親に存在せず、本人に突然変異で新たに生じた変異)を有する例が存在することも確認したという。

研究の具体的内容としては、ERBB4遺伝子によって作られ、受容体型チロシンリン酸化酵素である「ErbB4タンパク質」が神経栄養因子であるニューレギュリン(NRG)に刺激されると自己リン酸化されることでその機能を発揮するが、培養細胞に変異したERBB4遺伝子を導入した結果、ErbB4の自己リン酸化能の低下が認められ、ErbB4の機能低下がALSの原因となることが確認されたという。

なお、今回の結果について研究グループは、NRGのような神経栄養因子によりErbB4を活性化することが、ALS の根本的な治療につながる可能性を示唆するものだと説明している。

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