島津製作所は10月10日、業界最高クラスの高輝度を実現した「ブルーダイレクトダイオードレーザ」を開発したことを発表した。

加工用レーザでは、従来の炭酸ガスレーザに加え半導体レーザ励起型の固体レーザやファイバーレーザが主流となりつつあるが、これらの励起源として用いられる半導体レーザを直接レーザ加工に用いる「ダイレクトダイオードレーザ(DDL)」は、小型で電気-光変換効率が高く、大量生産による低コスト化が可能なことから、次世代のレーザ加工光源として注目されるようになってきた。

そのため近年、DDLは近赤外光による高出力化が進められているが、金属などの吸収率の高い可視領域への短波長化、かつ高い集光密度が得られる高輝度化を達成した高出力半導体レーザが実現すると、加工材料の多様化への対応やスマートフォンに代表される電子デバイスの小型化に伴って需要が伸びている微細加工への展開が可能になるため、炭酸ガスレーザや固体レーザからの置き換えが加速すると期待されている。

そうした背景から今回同社では、ブルーレイディスクやプロジェクタなどに用いられるGaN系半導体レーザをベースに、これまで培ってきた光学機器精密組立技術、高耐性コーティング技術に加えて、新開発の光多重化技術を用いることで、金属への吸収率が高い短波長(450nm)ファイバ結合型青色半導体レーザの輝度を従来の16倍に向上させることに成功し、スポットサイズが微小で、微細加工用途にも展開できる「ブルーダイレクトダイオードレーザ」を開発したという。

同レーザは、キロワットクラスの出力でも効率よくフレキシブルに伝送可能なファイバー結合型を採用しているほか、消費電力も固体グリーンレーザの半分程度で済むため、DDL搭載レーザ加工装置・プロセス装置の可能性を広げることが可能になるという。

同社では現在、次世代高機能レーザ加工向け光源事業の確立に注力しており、2012年9月にはファイバレーザ用のシード光源である外部共振器型短パルス半導体レーザ「BEAM IMPACTシリーズ」を、また2013年4月には高出力用レーザミラー・レーザウインドウをそれぞれ発売。今回のDDLも、これらにつづくものとして製品化を目指すとしており、2014年1月ころに10Wモデルの発売を皮切りに、その後50W/100Wタイプや空間出力タイプについても開発を進めることでラインアップの拡充を進めていく計画としている。

10Wタイプの外観イメージ