QNXソフトウェア システムズは10月8日、乗用車の車内における不快なエンジン音を除去することが可能なソフトウェアソリューション「QNX Acoustics for Active Noise Cotrol」の提供を開始したことを発表した。

同技術は、OSの有無は問わず、アプリケーションプロセッサやDSPを用いることで、ソフトウェア的にノイズ低減を実現するもの。APIとして提供され、既存のヘッドユニットやオーディオアンプとシームレスに統合することで、パフォーマンスの向上と設計・開発コストの削減の両立が可能になると同社では説明している。

また、高速キャリブレーションならびにチューニング、QNX自動車向けハンズフリー技術とのシームレスな統合、車両診断サポート、2ch~6chまでのマイクロフォンとスピーカーの配置に容易に対応可能な設定機能などが含まれているほか、カスタマは、QNXのソフトウェアサポート、コンサルティング、キャリブレーション、システムチューニングなどにおいて、音響エンジニア特別チームからのサポートを受けることも可能だという。

「QNX Acoustics for Active Noise Cotrol」の概要

加えて同社では同日付で、光庭ナビアンドデータが地図描画などを行う自社のナビゲーションエンジンの1部として「QNX CAR Platform for Infotainment」を採用することを発表した。これにより、従来、Windows、Linux、iOSなどで動いていた同エンジン上でHTML5などを活用したインタフェースの開発などが可能になるという。

「QNX CAR Platform for Infotainment」を採用したQNX CAR対応光庭ナビゲーションの概要

同プラットフォームは、多様なアプリケーション環境およびスマートフォンプラットフォームに加え、広範囲にわたる統合済みコンポーネントをサポートしており、インターネットに接続することで、リッチなメディア環境を備えたインフォテイメントシステムの開発を支援することを可能とするもの。これまで海外でのナビへの搭載実績はあったが、日本での搭載実績がなく、今回の提携により、日本国内にローカライズされたエンジンが提供されることとなる(地図データはゼンリンのものを活用するが、カスタマがらの要求により別の地図メーカーのものに対応することも可能だという)。

QNXの技術を活用することで、OSの垣根やUI技術の垣根などをあまり意識せずに開発を行うことが可能となる

光庭のソフトウェアおよびナビゲーションエンジンは多くの国内車載システムメーカーなどに採用されており、顧客としては日産自動車、日立グループ、東芝グループ、クラリオン、デンソー、エディアなどがいるとのことで、そうしたメーカーなどに向けた提案が今後進められていくことになるという。また光庭では中国でも顧客を有しているほか、武漢に開発部隊がいることから、将来的には中国市場への進出も視野に入れているとQNXでは説明している。