Q:「日本の漫画家」と聞いて、誰を思い出しますか?

日本のポピュラーカルチャーとして大きな存在感を持つ「漫画」。数多くの漫画雑誌や単行本が刊行されていて、海外でも日本の漫画の翻訳版が販売されるなど、その独自の文化の広がりは注目されています。また、漫画を生み出すクリエイターの層も非常に厚く、老若男女を虜にする幅広いジャンルの作品が次々と生まれる、日本の一大文化と言ってもいいかもしれません。

今回は、日本在住の20人の外国人の方に「日本の漫画家」と聞いて思い浮かべる作家についてアンケートをとってみました。世界各国から日本へやってきた方々からは、どんな漫画家の名前が挙がるのでしょうか。

■手塚治虫。アトムの作者だから。(イラン/20代前半/女性)

漫画界の巨匠・手塚治虫の名前が多く挙がりました。イランの女性は「鉄腕アトム」の作者であるため、チェコの女性は「本を持っている」ということで彼の名前を出したそうで、やはり多くの人が彼の作品を読み、心に残っているということなのでしょう。

また、ドイツの男性は「日本語を勉強していたときに勧められた」ということです。「知らないと恥ずかしいと(日本人の知人に)言われた」という声もあり、日本人から漫画といえば手塚治虫、ということで推薦されるケースも多そうです。

■宮崎駿です。彼の描いた漫画が好きです。(中国/20代後半/女性)

スタジオジブリの名作長編アニメ映画を数多く生み出してきた宮崎駿の描いた漫画についても、支持する声が多く上がりました。近年は映画監督としての印象が強いですが、例えば漫画版の「風の谷のナウシカ」は、多くのファンから熱烈に愛されています。

■藤子・F・不二雄。ドラえもんを描いた人だからです。小さいころから見ていましたし、今でもまだ人気があります。(タイ/30代後半/女性)

日本では長寿アニメとして今もなお放映されている作品「ドラえもん」を生み出した藤子・F・不二雄は、タイやフィリピンの人から作品とセットで支持されていました。ドラえもんの世界がもつ夢やロマンが、国境を越えて多くの人に受け入れられているものと思われます。

■水木しげる。(ロシア/20代後半/女性)

ロシアの女性は、「日本の漫画家」と聞かれると、「ゲゲゲの鬼太郎」などを生み出した妖怪漫画の第一人者・水木しげるを思い浮かべるとのこと。「鳥取県と縁があった」ために彼の印象が強かったそうですが、確かに「水木しげるロード」など、地元を盛り上げるためのスポットがあり、2010年には彼の妻・布枝さん著作・原案のNHK朝の連続テレビ小説「ゲゲゲの女房」が放映されたこともあり、鳥取といえば水木しげる、という印象は強いですね。

■やなせたかし。アンパンマンはすごい。(マリ/30代前半/男性)

94歳になってもなお、パワフルに創作を続けているやなせたかしの名前も挙がりました。マリの男性は、日本でも長く子ども達に愛される作品「アンパンマン」を評価しつつ、「わたしが日本に住んでいるからかもしれません」とコメントを添えていました。

■尾田栄一郎。ONE PIECEの絵とストーリーは前になかったもので、インパクトがあります(ペルー/40代前半/女性)

ペルーの女性は、日本国内でも空前のヒット作となっている漫画「ONE PIECE」の作者・尾田栄一郎について、「絵とストーリーが以前にはなかったものだ」と評価しています。迫力ある大ゴマや、キャラが号泣した際の表情の見せ方など、連載当時にはあまり見られなかった表現が注目を集めた一因であったようにも思われます。

■鳥山明、岸本斉史。「ドラゴンボール」と「NARUTO」が大人気なので。(オランダ/30代前半/男性)

先ほどの回答から、週刊少年ジャンプが輩出した人気漫画家が続きます。オランダの男性は、今年2013年にも劇場版アニメが作られるなど圧倒的人気を誇る「ドラゴンボール」をはじめ、ジャンプの黄金期とも言われる時代を築いた鳥山明。そして、その後の時代に主力漫画として非常に大きな人気を集め連載されている「NARUTO」を連載している岸本斉史。ふたりの作品も、日本国外で人気を集めているようですね。

■井上雄彦。この作家の漫画が韓国でも大ヒットしたので。(韓国/30代後半/女性)

最後に紹介するのは、週刊少年ジャンプでは「SLAM DUNK」でバスケットボールブームを生み出し、今も「バガボンド」、「リアル」など人気作を手がける井上雄彦。韓国でも彼の作品が大ヒットしたということです。

大御所と呼んで全く差し支えないような、ビッグネームがずらりと勢揃いする結果となりました。世界的な知名度や、日本国内での有名度合いからすれば納得ですが、漫画を愛好する人たちからすると、もっとほかにも読んでほしい作家がいると思われるかもしれません。そんな人は、周囲の外国の方に漫画をきっかけに話しかけてみると、また違う世界が開けるかもしれません。