東北大学 大学院工学研究科生活環境早期復旧技術研究センターは、食品をまるごと非破壊で含まれる放射性物質を測定することを可能とした装置を福島市などの中小企業と共同で開発したことを発表した。

同センターは、これまでも福島分室において、同センターが開発した「非破壊式放射能測定装置」を用いて、福島市民の家庭での食品持ち込み検査に対応してきたが、一般的な検査では、食品をミンチ状にするため測定に数十分かかっていたほか、検査後も食べることができないといった課題があった。

今回開発された装置は食品を切らずに食品中に含まれる放射性物質を測定することができるため、測定後も食することが可能だ。また、従来装置は、放射線計測専門の技術職員によって測定を行う必要があったが、新装置では、従来装置と同じ7個の検出器で放射能濃度を測定するものの、検出器と測定物の間には5cm厚の鉛を配置することで、外部からの放射線を遮断することが可能となり、測定物からの放射線を精度よく計測できるようになったほか、操作も簡素化され、放射線計測の知識がない一般市民でも簡単に測定できるようになったという。

また空調機を備えているので大概の場所に設置することが可能だという。

具体的な測定方法としては、測定物を試料入れザルに隙間無く入れ、観音開きの蓋を開けて装置内に入れるというもの。内部に入れられた測定物は、自動的に重さを測定され、1分、3分、5分の測定時間から時間を選択し、測定ボタンを押すだけで、測定が開始される。設定した測定時間を終えると、測定結果(:Bq/kg)が自動的に印字されて出てくるという仕組みとなっている。これにより、1kgの測定物の場合、検出限界値は5分間測定で10Bq/kg以下となるという。

なお、同装置は福島市の強い要請により開発されたもので、作製は福島市内の中小企業2社と宮城県の中小企業1社が連携する形で行われたという。

新たに開発された放射性物質の測定装置。蓋を開いて中に測定物を入れ、測定ボタンを押すだけで簡単に測定結果を知ることができる