ルネサス エレクトロニクスは9月26日、自動車の統合コックピットに対応するSoC「R-Car M2」を製品化し、即日サンプル出荷を開始したこと、ならびに同製品を搭載したソフトウェア開発ボードの開発に着手し、「統合コックピット」向けプラットフォームソリューションとして提供していくことを発表した。

次世代自動車に求められる統合コックピットを実現するために求められる技術にはさまざまなものが存在し、半導体デバイスにはそれらをカバーする性能や能力が求められることとなる

同ソリューションは、従来製品(R-Car M1)比でCPU性能を3倍以上、グラフィックス性能を約6倍、メモリバス性能を3倍にそれぞれ向上させたSoC、すでに製品化されているハイエンド製品「R-Car H2」から、機能・性能を完全サブセット化することで、R-Car H2上で開発されたソフトウェアを流用・共通化したソフトウェアパッケージ、そしてソフトウェア開発ボードの3つで構成されるもの。

R-Car M2はH2と同じARM Cortex-A15を2コア搭載しているほか、SH-4Aを1コア搭載する2+1のCPU構成を採用。これにより従来のハイエンド品「R-Car H1」を上回る12000 DMIPS以上の性能を実現している。また、グラフィックスにはImagination Technologies(IMG)の「PowerVR SGX544MP2(動作周波数520MHz)」を採用。これにより、高解像度・高精細の画面表示が可能となったほか、複数画面への同時描画にも対応可能となり、車内のさまざまな情報をインタラクティブに表示することが可能となった。

Cortex-A15(1.5GHz駆動)が2コア、グラフィックスにSGX544MP2を用いることで、リアルタイムOSとLinuxなどのリッチOSに対するリソースの最適提供や、複数のディスプレイの同時処理などが可能となる

さらに、独自の内部バス技術を活用してCPUやグラフィックス機能などを接続、外部DDRメモリも800MHzまで対応可能としたことで高い性能を発揮することが可能になったとしている。

加えて、R-Car H2のサブセットという位置づけとして、H2と機能IPだけでなく、メモリマップも共通化することで、ドライバやミドルウェアの流用などを可能としており、カスタマのソフトウェア資産の活用などを可能としている。

このほか、現在開発を進めているソフトウェア開発ボードは、従来のSoCの機能評価を中心としたものではなく、ソフトウェア開発用として機能を絞り込んだものとなる予定で、価格を従来の評価ボードの1/5程度に抑えたものになる予定だとしている。この開発ボードは年内の出荷が目標となっている。

なお、対応OSはLinux、QNX、Windowsを予定。それぞれにマッチしたソリューションの提供を進めて行くとしている。

複数のOSをサポートすることで、開発の柔軟性を提供することが可能となる。右はR-Car M2を実際に搭載した評価ボード