JR東海は18日、中央新幹線(東京都・名古屋市間)の環境影響評価準備書を公開した。同社が実施した環境影響評価の結果を踏まえて作成されたもので、東京都および名古屋市のターミナル駅と中間駅、走行ルートの詳細が示されている。
超電導リニアの中央新幹線は、JR東海を営業主体・建設主体とし、第1段階として東京都・名古屋市間の計画が推進されている。環境影響評価準備書とその要約書は、中央新幹線に関係する7都県(東京都・神奈川県・山梨県・静岡県・長野県・岐阜県・愛知県)ごとに作成され、これら7都県知事および39市区町村長に送付されたという。
中央新幹線(東京都・名古屋市間)の路線延長は286km(地上部40km、トンネル部246km)とされ、山梨リニア実験線もこの中に含まれる。東京都のターミナル駅は東海道新幹線品川駅地下(ホームの深さ約40m)、名古屋市のターミナル駅は東海道新幹線名古屋駅地下(ホームの深さ約30m)とされ、両駅とも、「東海道新幹線との結節、在来鉄道との円滑な乗り継ぎ及び国際空港とのアクセスの利便性を確保することが可能」になる。
神奈川県駅はJR橋本駅付近、山梨県駅はJR身延線から離れた位置に
東京都ターミナル駅からの走行ルートは、山梨リニア実験線と接続すべく、できる限り直線に近い線形とする計画だという。神奈川県の中間駅はJR橋本駅付近とされ、深さ約30mの地下駅に。また、相模原市緑区根小屋付近で本線から分岐する回送線(計画延長約4km)と、同市緑区鳥屋付近に約50haの関東車両基地が計画されており、留置線、検査庫、臨時修繕庫、事務所などの施設が置かれ、保守基地も併設される。
山梨県から静岡県にかけては、山梨リニア実験線を活用するほか、甲府盆地内については地上部で計画された。山梨県の中間駅は甲府市大津町付近とされ、ホームの高さ約20mの地上駅に。この駅はJR身延線との交差部分から2km以上東側に離れた地点に示されている。静岡県内は全区間においてトンネル構造となり、「長野県境に位置する3,000m級の稜線の中で、比較的標高が低い小河内岳の南側を通過する計画」とのこと。
長野県から岐阜県、愛知県にかけての区間もできる限り直線に近い線形とされている。長野県の中間駅(地上駅)は飯田市上郷飯沼付近で、JR飯田線の元善光寺~伊那上郷間のほぼ中間に駅の位置が示された。岐阜県の中間駅(地上駅)は中津川市千旦林付近とされ、JR中央本線美乃坂本駅のすぐそばに駅の位置が示されている。千旦林地区の丘陵地には約65haの中部車両基地(工場)も計画されており、留置線、検査庫、臨時修繕庫などの設備に加え、工場を設置し、保守基地も併設。本線と車両基地を結ぶ回送線も敷設される。
JR東海は今回の環境影響評価準備書の公開を受け、「引き続き環境影響評価法にのっとり、関係する都県知事および市区町村長への送付、公告および縦覧、説明会の開催、意見募集などの手続きを進めてまいります」と発表している。