モリンダ ワールドワイドと近畿大学薬学部は9月7日、同日開催された「日本生薬学会第60回年会」において「ノニ(Morinda citrifolia)」に抗アレルギー作用があることを発見したと発表した。

今回の研究成果は、「脱顆粒抑制試験」と「塩化ピクリル誘発接触性皮膚炎(PC-CD)試験」の2つの実験により、得られたもの。

脱顆粒抑制試験では、ラット好塩基球白血病細胞に検体(ノニ果肉エキスおよびノニ葉エキス)と脱顆粒を起こす薬剤を添加し脱顆粒させ、その際に放出される酵素量を測定し、脱顆粒抑制率を算出。その結果、ノニ葉エキスを添加すると脱顆粒が抑制され、ノニ葉の抗I型アレルギー作用が示唆されたほか、その有効成分を探索したところ、ウルソール酸、ルチンおよびケンフェロールの誘導体であることが判明したという。

2つ目の塩化ピクリル誘発接触性皮膚炎(PC-CD)試験では、マウスに検体(ノニ果肉エキスおよびノニ葉エキス)を1週間経口投与し、その後マウスの耳に皮膚炎を起こす薬剤を塗布し、発症した耳浮腫を計測した。通常であれば、薬剤によりマウスはアレルギー反応を生じ、耳浮腫を起こすが、ノニ果肉を経口投与したマウスでは、耳浮腫の増加が抑制され、ノニ果肉に抗IV型アレルギー作用が認められたという。

また、免疫機能が低下している場合は、皮膚炎を起こしても耳浮腫は起こりにくいことが知られているため、事前にノニ果肉を経口投与し、免疫抑制物質を投与したマウスでも同様の試験を実施したところ、耳浮腫の低下を抑制することが認められ、これによりノニ果肉には免疫機能を正常に保つことで抗IV型アレルギー作用および細胞性免疫低下抑制作用があることが示唆されたこととなった。

I型アレルギーは、花粉症や食物アレルギーなどのアレルギー性疾患が該当し、IV型アレルギーは、金属アレルギーや漆かぶれなどのアレルゲンとの皮膚接触により発症するアレルギーであり、今回の成果は、そうした各種アレルギーに対し、ノニ果肉および葉がノニの抗アレルギー作用を示す結果となったと研究グループでは説明している。