Forbes.comが2013年版の「The World's Most Innovative Companies」を発表した。イノベーティブな(革新的な)企業のランキングで、今年のトップは、昨年に続き米Salesforce.com。同社はクラウドブームに先駆けたSaaSベンダーだが、その後の継続的なイノベーションが評価された形だ。一方でAppleは79位とランクを下げた。今年はトップ10に日本の楽天もランクインしている。

ForbesのThe World's Most Innovative Companiesは、時価総額が100億ドル以上、研究開発への投資を売上げ比2.5%行っている企業を対象に、イノベーションプレミアムという独自の指標を用いて割り出したランキング。

さっそくランキングを見てみよう。まずは上位10社の紹介から。

1位はSalesforce.comで、なんと3年連続でトップを堅守している。2位はバイオ技術の米Alexion Pharmaceuticals、3位は米VMware。Salesforce同様、仮想化技術分野を先駆けた後もクラウド戦略など拡大を続けている。

4位は米Regeneron Pharmaceuticals、2位のAlexion Pharmaceuticalsと同じくバイオ・製薬技術企業だ。5位は英ARM。モバイル端末向けの半導体企業でアーキテクチャをライセンスしており、主要なスマートフォンの多くがARMアーキテクチャベースのチップを搭載しており、その勢いは米Intelを脅かしている。なお、ARMは米国以外では最上位となる。

このほか上位10位には、"中国のGoogle"ことBaidu(百度)が6位に、7位は米Amazon.comがランクインした。9位は楽天、日本企業としてはトップとなる。10位はブラジルの化粧品Natura Cosmeticos。

日本企業はこのほか、14位にユニチャーム、26位にファナック、36位にキーエンスが選ばれるなど、トップ100に合計で11社が名を連ねた。Yahoo! Japan(38位)、SMC(61位)、任天堂(84位)、クボタ(89位)、花王(97位)、ダイキン工業(100位)がランクインしている。

ハイテク企業では米Googleが47位、一方のAppleは79位となった。2社のライバルである米Microsoft、モバイルでAppleと競合するSamsungは上位100に入っていない。このほか、米Citrix Systemsが50位、独SAPが72位に入った。

イノベーションを重視しないという企業はないはずだが、どうやればイノベーションが生まれるかについては各社悩むところであり、アプローチもさまざまだろう。

Forbesによると、「1000以上の評価を行った結果、最もイノベーティブなリーダーのうちの10~15%は、(部下など)自分たちの周囲の人にイノベーションを促すようなことをしない」と説明している。

自分たちのアイディアが優れており、自分の周囲を才能ある人で固めようとは思わない、他の人がアイディアを生んだり実現のために作業をする時間に寛容になれないなどのリーダーの態度や姿勢の結果、従業員は次第にアイディアを出すのを控えるようになり、「創造性のための"筋肉"は萎縮、あるいは退化してしまう」と指摘する。

例えば、投資家らはAppleに対し、Steve Jobsが亡くなる前から同社の継続的なイノベーションに対していらだちを見せていたという。AppleはJobs氏が逝去した年である2011年は5位だったのが、今年は大きくランクを下げている。一方で、連続1位のSalesforce.comの創業者兼CEO、Marc Benioff氏は、「一人で全部はできない」と認め、自分の仕事について「イノベーションの社風を構築すること」と述べていると紹介している。