EMCジャパンは9月5日、同社のミッドレンジ・ストレージ「VNX」シリーズの最新版(VNX5200、VNX5400、VNX5600、VNX5800、VNX7600、VNX8000、VNX7600-F)を発表した。価格は最小構成で295万7,340円~ (税別:ハードウェア/ソフトウェア、ハードウェア無償保守3年、ソフトウェアプリペイド1年保守)。

新しい「VNX」シリーズは、最新のIntel Sandy Bridgeテクノロジーを採用するとともに、フラッシュに最適化され、仮想化されたアプリケーションのパフォーマンスを高速化するMCx(マルチコア最適化)テクノロジーを搭載している。

VNX5400

VNX5600

VNX7600

VNX8000

米EMC アジアパシフィック&ジャパン ユニファィド ストレージ部門 シニア・プロダクト・マーケティング・マネージャー 兼市佐江氏

米EMC アジアパシフィック&ジャパン ユニファィド ストレージ部門 シニア・プロダクト・マーケティング・マネージャー 兼市佐江氏によれば、今回の新製品の改善ポイントは高性能、効率性、可用性の3つだという。

性能面では、新たにMCxテクノロジーを搭載した点が大きいという。従来のコントローラーは、HDDをベースに設計されていたが、新製品はフラッシュストレージの利用を前提に一から再設計。そのため、フラッシュの性能を最大限に引き出すことが可能になったという。その中心となるのがMCxテクノロジーだ。

従来は、CPUコアごに、RAID、I/O、DARMキャッシュ、FASTキャッシュ、データサービス、管理と、役割を固定していたが、MCxテクノロジーでは、マルチコアをダイナミックに横断して利用。そのため、余力を持つコアがなくなり、コアが増えるにしたがって性能もアップするという。

MCxテクノロジー

対応するCPUのコア数は、従来の12コアから32コアに拡大され、搭載可能なストレージは最大1,500(年内対応)となった。

フラッシュの能力を引き出すための新設計

同社のテストによれば、1台あたり50 IOPS、利用ストレージ容量を100GBとした場合、1台のVNXには従来の6倍にあたる、最大6600の仮想マシンが搭載可能だという。

効率性の面では、新たにブロックレベルの重複排除機能を搭載。ストレージプールのLUN単位で設定可能で、とくに、同じOSイメージを格納するVDI環境で大きな効果を発揮するという。

ブロックレベルの重複排除機能

可用性の面では、キャッシュにミラー・ライト・キャッシュを導入。従来はフェールオーバー方式だったが、新製品では常にミラーリングする。これにより、電源障害時でもデータが保護されるという。

ミラー・ライト・キャッシュ(右)

EMCジャパン マーケティング本部 本部長 上原宏氏

EMCジャパン マーケティング本部 本部長 上原宏氏は「今回の製品は自信に満ちた製品だ。市場はハイエンドストレージからミッドレンジ・ストレージ(1,000万円以下)に関心が移ってきており、主役が交代している。そこで、ミッドレンジのVNXを刷新することにした。今後仮想化が進み、ストレージの71%が仮想化に移行すると考えている。そのために必要な製品がVNXだ。今回の製品はフラッシュを中心にするという発想のもとに開発している。MCx(マルチコア最適化)テクノロジーがもたらすメリットは性能、効率性、可用性の面で非常に大きい。ユーザーがあらゆる点ですごいと実感できる製品だ。とくに、サービスプロバイダ、データセンター事業者にメリットを感じていただける。ミッドレンジストレージ市場は1桁成長だが我々は2桁成長したいと思っている」と意欲を語った。