島津製作所は8月28日、MALDIタンデムTOFタイプのマトリックス支援レーザ脱離イオン化飛行時間型質量分析計「MALDI-7090」を発表した。

近年、プロテオーム解析技術をベースとしたバイオ医薬品開発が急速に拡大しており、膨大な数のタンパク質試料を詳細にかつ素早く分析・解析することが求められている。また、タンパク質や脂質などに関する従来の基礎研究においても、より高い分析スループットやデータ精度が求められている。同製品はこれらのニーズに対応、医薬品開発や受託分析を行う製薬関連企業、材料開発などを行っている石油・化学関連企業や大学、研究機関などでの活用が見込まれるという。

具体的な特徴としては、最大繰り返し周波数2kHzの固体レーザ(波長:355nm、繰り返し周波数:1~2000Hz可変)を新たに採用した。これにより、最大2kHzの超高速MS、MS/MSが可能となり、従来比でおよそ十数倍となる測定時間の大幅な短縮を実現した。また、レーザの照射径を10~100μm以上まで自由に変更できるため、通常のMALDIプレートを用いたサンプルスポットの測定から高解像度のMALDI MSイメージング、マルチプレートによる自動分析まで、幅広く超高速な分析や解析ができる。

さらに、新開発のメカニズムASDF(Axial Spatial Distribution Focusing)により、1万FWHMの高分解能、50ppmの高精度なMS/MSを実現した。同機能により、質量が近似したフラグメントイオンでも明確に識別できるため、例えば、ペプチド・タンパク質の配列解析において、より信頼性の高い結果を得ることができる。

加えて、従来のAXIMA Performanceの機能を継承し、プリカーサイオンの減速や二次加速を行うことなく、MALDIタンデムTOF最高クラスの20keVという高い衝突エネルギーを用いたHigh Energy CIDによるMS/MSを実現している。ASDFメカニズムとの組み合わせにより、多様な測定対象分子の構造情報をより多く、かつ正確に取得できる。これにより、ペプチド・タンパク質、脂質などの生体高分子、および各種合成高分子化合物といった多様な化合物の構造解析に対応する。

なお、価格は1億円(税別)。年間販売目標は日本国内で10台としている。

マトリックス支援レーザ脱離イオン化飛行時間型質量分析計「MALDI-7090」