Texas Instruments(TI)は8月28日、マイコン「C2000」Piccolo「F2802x」シリーズに、センサレスモータ制御技術「InstaSPIN-FOC(フィールドオリエンテッド制御)」を搭載したラインアップを追加したと発表した。

これにより、特定市場のみで利用されていた高効率の三相モータ制御の専門技術を利用することができ、小型パッケージおよび低価格帯のマイコンで、システムコストの削減を図ることが可能になるとする。

同技術はマイコン「C2000」Piccolo「F2802x」シリーズのROMに内蔵されており、モータ制御の開発の迅速化と同時に、BLDC(ブラシレスDC)、PMSM(永久磁石同期型)およびAC誘導などの各種モータを搭載したコスト重視の各種アプリケーションの効率を向上させる。また、F2802xシリーズは、あらゆる種類の三相の同期型または非同期型モータの同定、調整および制御を数分で実現する能力を備えていることから、洗濯機、コンプレッサ、ポンプ、ファン、電動自転車、電動工具、トレッドミル、コンパクト・ドライブ、ミシンおよび織機、リフトおよびホビー用モータをはじめとした、多様なアプリケーションに最適だと同社では説明する。

InstaSPIN-FOC技術の特徴としては、モータパラメータの同定、ソフトウェアオブザーバの調整、およびトルク制御の調整を、ほぼ自動で提供できるというもので、設計期間の短縮を図ることが可能。また、無償で提供されるInstaSPIN-FOCオンラインシミュレーションツールを使うことで、多様なモータの速度および負荷プロファイルをカスタマイズし、数分でシミュレーション結果を入手できるほか、組み込まれた内蔵FASTオブザーバアルゴリズムにより、電流および電圧の解析結果のみから、使用条件全体に渡って、モータの磁束、角度、速度およびトルクの値を高い信頼性と堅牢性で推測が可能。この正確なセンサレスの推測性能によって、ほぼすべてのトルクおよび速度のアプリケーションにおいて、メカ式の回転センサを不要にすることが可能。さらに、同期型(BLDC/SPM/IPM)ならびに非同期型(ACI)の各三相モータ適合し、同一ソリューションで対応することも可能だという。

加えて、オフラインのモータ試運転機能によって、必要なモータパラメータを同定、FASTアルゴリズムを調整、電流コントローラの初期化を行い、安定した動作を実現することができるほか、オプションのオンラインの抵抗の再較正機能によって、抵抗変化に追従し、最も性能を要求される低速負荷条件において、堅牢なオブザーバ性能が提供されている。

なお、価格は1万個受注時で4.03ドルから。32/64KBのフラッシュ品を大量発注した際は2ドル前後となるという。また、InstaSPIN-FOCオンラインシミュレーションツールは、現在無償で提供中。同ソリューションの開発および評価に役立つ、モジュール方式のコントロールカード「TMDSCNCD28027F」は69ドルで供給中。現在、同コントロールカードは、高電圧(50~350V、10A)モータキット「TMDSHVMTRINSPIN」に同梱され、699ドルで供給されている。このモータキットは、外付けエミュレータと組み合わせることで、先に発表された低電圧インバータ評価モジュールである「DRV8312/8301」RevDキットにも使用できる。「InstaSPIN-FOC」および「InstaSPIN-MOTION」は、先に発表されたPiccoloマイコン「F2806x」にも搭載されている。