東京大学(東大)生産技術研究所センター長の須田義大 教授や神戸製鋼で構成される研究チームは8月27日、これまで共同で開発を進めてきた鉄道駅に設置する乗降位置可変型ホーム柵「どこでも柵」のフィールド試験を2013年8月31日より約半年間の間、実施することを発表した。

実施場所は既報の通り、西武新宿線新所沢駅のプラットホーム(1番ホーム後端部)で、今回の試験により、実際の列車とホームを用いた乗降位置の調整が行われることとなる。

どこでも柵は、駅のホームからの転落事故防止のために鉄道各社が進めているホーム柵やホームドアが、車両のドア数や位置が複数ある路線などでは設置できないという問題を解決するために開発されたもの。扉だけでなく戸袋も移動することで、あらゆる車両のドア位置に対応できるという点が特長で、これにより既存車両を置き換えることなく基本的にはすべての駅でホームドアなどの利用が可能になる。

また、どんな車両にも対応できるということは、どこに止まっても対応できるということも意味しており、定位置停止装置を導入することなくホームドアなどを設置できるというメリットもあるという。

技術としては、長さ1.4m程度の戸袋の両側に長さ1.1m程度の扉が1枚ずつ出入りする仕組みで、多様な車種に対し、編成全体を考慮してユニット位置を算出し、ユニットがホーム端のレール上に並び個別に移動するという形となっている。また、次列車に合わせ、あらかじめ戸袋がゆっくりと移動する制御を採用することで、駅停車時分のロスを最小限にできるほか、ユニットの移動速度も、乗客の受容性を考慮し被験者実験を行って検討したものになっているという。

東大生産技術研究所千葉実験所に置かれた要素技術試作機