ゼロを取り戻す冒険に出た「数字大臣」(右)たち
(撮影:サイエンスポータル編集部)

もしも世の中から数字の「ゼロ」がなくなってしまったら……という想定で繰り広げられるユニークな“算数”ミュージカル「OHHHHH~? ふしぎなゼロの大ぼうけん」が24日、埼玉県和光市の和光市サンアゼリア小ホールで上演され、多くの家族連れが楽しんだ。

観客席の子供たちもミュージカルに“飛び入り”参加
(撮影:サイエンスポータル編集部)

財団法人・日本数学検定協会(東京都台東区、清水静海・理事長)が「もっと子供たちに算数の楽しさを」と演出家の大原晶子さんに相談し、実現した。「5年前からアイディアをもっていた」という高田忍理事によると、脚本ができたのは今年1月、キャストが正式に決まったのは7月下旬ごろだが、「スタッフたちが手弁当で協力してくれた」という。

ミュージカルは、ある国の算数が苦手な「数字大臣」(杉田あきひろ)が「ゼロなんか必要ない」と言ってしまったために、国内からゼロがなくなり大混乱。その秘書(伽藍琳〈がらん・りん〉)と一緒に、謎の少年(白神直子)に導かれながらゼロを取り戻す冒険の旅に出かけ、ゼロの役割や大切さに気付く――といった物語だ。

謎の少年は、ゼロを“発見”したのはインド人、南米のインカ帝国には数字はなかったことなど、算数に関する知識も披露する。さらに、会場の子供たちを相手にした数字のパズルや暗号文の解読、子供たちに舞台に上がってもらい、箱の数あてやロープで多角形を作ってもらう場面もあるなど、まさに観客と一体となったミュージカルだ。ストーリーの展開をリードする9つの曲(作・荒井英理也)もそれぞれに数字の大切さや面白さなどを歌い、約45分間の上演時間はあっという間だった。

鑑賞した子供たちも「面白かった」と大喜び。日本数学検定協会は、この日の上演の模様をDVDにして、さらに多くの人たちに算数(数学)の楽しさを観てもらう。高田さんは「子供たち自身が、このミュージカルを演じてくれるようになるといいですね」と話している。