22日午前に藤圭子さんが亡くなったことを受け、前夫で音楽プロデューサーの宇多田照實氏が26日、娘・宇多田ヒカルのオフィシャルサイトを通じ、コメントを発表した。

照實氏は、「この度の故宇多田純子、投身自殺に於きましては、各方面の関係者の皆様、歌手藤圭子の大勢のファンの皆様、そして宇多田ヒカルのファンの皆様に多大なご心配と世間をお騒がせしていることに対して、所属事務所代表として、また25年間連れ添った元夫として心からお詫びを申し上げます」と謝罪し、「宇多田ヒカル並びに僕に対して沢山の心の籠った暖かいお言葉、お悔みをいただいたことに対しては、この場を借りて感謝の意を表明させていただきます」と感謝の言葉をつづった。通夜、葬儀に関しては、遺言書に書かれていた本人の意志に従い、執り行わないという。

出会ったころから藤さんの感情は不安定だったが、照實氏は「類い稀な『気まぐれ』な人」と受け止め、「十分に対応出来る範囲」と捉えていた。その感情の変化が著しくなったのは、ヒカルが5歳のころ。周囲に対して攻撃的な発言や行動が見られるようになったものの、すぐに「ゴメン、また迷惑かけちゃったね」と自ら反省する日々が続いていたという。照實氏は適切な治療を受けるように勧めたこともあったが、「このアドバイスは逆に、僕に対する不信感を抱かせることとなってしまいました。結果、本人が拒絶し続けた治療が成されないまま、彼女の苦しみは年を追うごとに重症化したものと思われます」とその後の経過をつづっている。

そしてここ12年、藤さんはニューヨークを中心に、ヨーロッパ各国、米国各地、オーストラリアなどを旅をする生活を送る。ヒカルと照實氏のもとには昼夜を問わずに電話が来ることもあり、照實氏はその時の様子を「『元気?』という普通の会話が交わされる時もあれば心当たりのない理由で罵声を浴びせられる時もあり、相変わらず心の不安定さを感じさせられてとても気がかりでした」と伝えている。

また、14日には藤さんから電話があったことを明かし、「この時は珍しく明るい口調で、元気そうな純子の声でした。約8分間、世間話を含め、お願いごとを何件か受け、了承し電話を切りました」と報告。それが藤さんと交わした最後の言葉だった。照實氏は「純子として覚悟の上での投身自殺だったのか、衝動的に飛び降りてしまったのか、今となっては知りようがありません」とし、「最終的に僕から救いの手を差し伸べられなかった悔しさ、大切な人間を失った悲しさでいっぱいです」と悲痛な思いをつづった。

最後は、「これまで宇多田純子を、藤圭子を愛情を持って見守ってくださった方々全員に、本人に代わり、心から感謝いたします。ありがとうございました」と感謝の言葉をつづり、「純子と過ごした日々は僕の記憶にはっきりと刻まれています」と結んでいる。