新日鉄住金エンジニアリング(NSENGI)は8月23日、土壌浄化における原位置浄化技術の1つであるバイオレメディエーション工法に関する独自の「原位置バイオ技術」を確立したことを発表した。

バイオレメディエーション工法は、土中に栄養剤を注入して土着微生物の活性を高め、微生物の代謝機能を用いる事で汚染物質を無害化する技術であり、従来の掘削除去工法や化学酸化工法に比べて安価かつ、2次汚染の心配もないという特長がある。しかし、従来のバイオレメディエーション工法では、事前に効果を予想する事が難しく、浄化水準・浄化費用・浄化期間を明確に予測する事が出来ないという課題があった。

今回、同社では独自の設計技術と事前の確認実験手法を活用することで、浄化水準・浄化費用・浄化期間などの予測を確実に行える技術を開発。また、実施工における栄養剤注入工法として、圧力注入方式や撹拌混合方式、浸透注入方式など複数の方式を取りそろえることで、栄養剤の浸透が難しいとされているシルト層や粘土層の浄化にも対応が可能になったという。

さらに、栄養剤としても汚染物質に応じた「NSバイオアクティ」を商品化することで、有機塩素化合物(VOC)、ベンゼン、シアン、油分などの他、鉛やクロムなどの重金属類のバイオによる不溶化まで対応が可能となったほか、独自の制御技術、微生物の活性化技術、汚染物質の分析技術、複合汚染対応技術などを活用することで、種々の難しい汚染サイトにも対応を可能とした。

なお、同社では、土壌汚染対策市場が、土壌汚染対策法の改正を受けて、掘削除去工法から原位置浄化工法に除去方法を移行しており、原位置バイオ技術を用いた工法が今後、有力になっていくものとの見方を示しており、将来的には、これまでのノウハウをもとにした調査、対策、モニタリングに関する知見やリスクコミュニケーション力を活かし、原位置浄化技術を中核とした工法により、年間百億円規模の市場を獲得し、中国、韓国、台湾をはじめ、アジア市場への進出も図っていきたいとしている。