米Amazon.comと米Conde Nastは8月20日 (現地時間)、デジタル版と印刷版の両方を提供する雑誌の定期購読サービス「All Access」の開始を発表した。Vogue、Glamour、Bon Appetit、Lucky、Golf Digest、Vanity Fair、WIREDの7誌が対象になっており、現在デジタル版や印刷版の定期購読価格よりも大幅に安い特別価格 (4割引から7割引)でAll Accessを契約できる。

All Accessは契約時に住所などを入力する必要はなく、Amazonの1-Clickショッピングで簡単に定期購読を開始でき、Amazonアカウントの雑誌購読マネージャーで定期購読を管理できる。 契約者は、最新号が販売されると同時にすぐにデジタル版をダウンロードでき、数日後には印刷版も受け取れる。デジタル版を読めるのは、Kindle Fire、iPad、Androidデバイスなどだ。

例えば、Conde NastのWIREDをAmazonで定期購読した場合、デジタル版、印刷版ともに年間購読(12冊)が19.99ドルだ。現在同誌のAll Accessは50%引きに相当する半年分(6冊) 5ドル (1冊:約80円)の特別価格で契約できる。

現在GLAMOURのAll Access(デジタル+プリント)は、デジタルのみの年間契約またはプリント版の年間契約の70%引きに相当する半年3ドルの特別価格で販売中

特別価格が終了した後のAll Accessの価格がいくらになるかは不明だ。デジタル版の読者に印刷版を、逆に印刷版の読者にデジタル版を無償提供するような価格になれば、雑誌の流通に与える影響は大きい。米国ではTime Inc.がデジタル版のクロスプラットフォーム契約や、デジタル版と印刷版の両方を読める契約を試すなど、バンドル契約へのシフトが見られる。中でもAmazonはアナログ版商品を扱っているという立場を、デジタル版のみを扱うAppleやGoogleに対する武器にしようとしており、同社でレコードやCDを購入した顧客にデジタル版を無償提供する「Amazon AutoRip」というサービスをすでに提供している。