信田(しだ)缶詰の「サバカレー」(3缶630円)

カレー業界では、ご当地カレーが大流行中だ。都内でスーパーの棚に目をやれば、全国各地のご自慢カレーがズラリと並んでいる。中でも高い存在感を誇示しているのが「千葉県のカレー」。サザエやクジラ、タコといった海産物から、変わり種ではビワなど何じゃこりゃ的な食材までが投入されているという。

全国屈指の漁業・農業・畜産力

そんな千葉のカレーの中でも抜群の知名度を誇るのが信田缶詰の「サバカレー」だ。こちらはレトルトパックではなく缶詰。千葉県銚子市を舞台にした某テレビドラマの中で生まれたこのカレー、実際に商品化されて今も数社で販売されている。

缶を開けるとサバの身がゴロゴロと出てきて、ルウにもサバエキスがたっぷりと染み渡っている。ルウだけなめても、「サバだ!」と即座に頭が反応する存在感とうまさなのだ。それにしても、なぜ千葉県でご当地カレーが続々と生まれているんだろう? ナゾを解くべく千葉県農林水産部生産販売振興課販売流通対策室長の石家健生(たけお)さんを直撃した。

写真は信田缶詰の「サバカレー」。連続ドラマの劇中に登場したことがきっかけで実際に商品化された人気商品だ

「まず食材の豊富さですよ。千葉県は温暖な気候で海も山もあります。農林水産業が盛んなのでカレーにできる食材がいっぱいあるんです」。

石家さんはちょっと鼻を高くして説明してくれた。なるほど、データを見てみると千葉県の農業産出額は全国2位。海面漁業漁獲量は全国4位。そして畜産産出額は全国4位と、AKBで言えばゆきりん的な安定ポジションだ。

「それにカレーはどんな食材でもマッチしますからね。オリジナルメニューを作るにはぴったりなんです!」

千葉をカレーでいただくフェアを開催!

石家さんが自信満々なのはワケがある。実はこの千葉カレー、レトルトだけでなく県内の飲食店でもブームになっているのだ。8月31日まで開催中の「千葉のカレーフェア2013」にももちろん出品している。

こちらのフェアは、県内90の飲食店が自慢のカレーを提供するもので、今年で3回目を迎えるという。各店が趣向を凝らしたオリジナルカレーが勢ぞろいするイベントで、定番のサザエや和牛はもちろん、ノリやピーナッツなど驚くような素材のものまでが競い合って、千葉のカレー熱を盛り上げている。

ちなみに、「メイン以外の食材にもなるべく千葉県産品を使ってほしいとお願いしています」と石家さん。「食材のほとんどは県産品が手に入りますからね。カレーで地産地消を目指してるんですよ」。

「白樺派のカレー」(525円)。五味商店から発売されているレトルトの他に、当該エリアの様々なレストランでも同名で展開されている

でも、結局カレーライスって半分がご飯でしょ? そんな意地悪な筆者のコメントには、「ふふふ。千葉県は実は米の収穫量も全国9位なんですよ!」って即答されてしまった。関東と言えば、まずは東京に目がいってしまうのだが、千葉県もなかなかあなどれない!

外房捕鯨の「くじらカレー」(525円)。ワイルドなクジラ肉が豊かに入っている

前述した「サバカレー」のほかにも「くじらカレー」や「白樺派のカレー」など個性派カレーに人気が集中している。ちなみに「白樺派のカレー」とは、大正デモクラシーが起こっていた当時、白樺派の文人たちが食べていたカレーを再現したもの。隠し味にみそが入っているのがその特徴だ。

このように、千葉県のご当地カレーは味の個性が豊かなこともさることながら、パッケージデザインのユニークさも特色のひとつ。多彩な千葉県のカレー展開、これからも目が離せない!

●Infomation
外房捕鯨
千葉県南房総市和田町花園127-3

五味商店
千葉県我孫子市本町3-4-9