ラピスセミコンダクタは8月7日、従来品に比べ発振精度を2倍に向上させた高精度発振回路を内蔵した8ビットマイコン「ML610Q101/2」2品種を発表した。

近年、電子機器の小型化が進み、PCやサーバなどの機器では、冷却用ファンモータも小型化が求められている。また、大量データを処理するCPUサーバでは、発熱が大きいため冷却ファンが複数台内蔵されており、それぞれのファンの回転数にばらつきがあると、ファンから発生する風切音の周波数の違いでうなり音が発生したり、モータコイルの電流制御において、オン/オフの電流変動が大きいと耳障りな電磁音を発生するなどといった課題があった。これらの課題を解決するため、高精度な回転制御と小型化を実現するマイコンが求められていた。

同製品では、外付け容量不要のロジック電源用レギュレータと内蔵発振回路を開発し、従来比2倍の高精度発振を実現。これにより、単相ファンモータの回転制御では、回転ばらつきを低減し、かつ豊富なタイマを活用しソフトスイッチング通電を行うことで静音化と高効率化を実現した。また、ヒステリシス差動コンパレータを搭載しており、ホール素子の使用にも対応している。さらに、ロジック電源用レギュレータの容量と発振子を外付け不要とし、部品点数の削減を図るとともに、小型パッケージにすることで、実装基板の小型化を実現している。

この他、回路とレイアウトの工夫により高いノイズ耐性を確保し、国際電気標準会議(IEC)規格であるIEC61000-4-2において、最高のクラス4(±15kV)を越える測定限界の±30kVをクリアしている。これにより、ノイズ環境の厳しい産業機器でも使用できるとしている。

なお、パッケージは5mm×4.4mmサイズのSSOP16、および4mm角のWQFN16。サンプル価格は100円。すでにサンプル出荷を開始しており、量産はSSOP16パッケージが9月、WQFN16パッケージが10月より開始する予定。生産拠点はラピスセミコンダクタ宮城となっている。合わせて、簡単に評価を開始できるリファレンスボードとソフトウェア開発環境も用意している。

ラピスセミコンダクタの高精度発振回路内蔵8ビットマイコン「ML610Q101/2」