パナソニックは8月5日、新構造の光触媒粒子を考案・合成し、同粒子を水中に分散させることで高速処理が可能な水浄化技術を開発したと発表した。

具体的には、ゼオライトの表面に、微粉末の二酸化チタン光触媒を結合させた構造の光触媒粒子を開発し、特定の粒子間に作用する静電的な引力を結合力として利用することで、結合剤などの化学物質を不要としながら、ゼオライト表面の二酸化チタン光触媒が本来有する光触媒活性を生かすことで、3価ヒ素や難分解性有機物の光触媒酸化反応において、微粉末の二酸化チタン光触媒と同等の光触媒活性を示すことを可能とした。

また、微粉末の二酸化チタン光触媒がゼオライトの表面に弱く結合しているため、同粒子を含む水溶液をかくはんすることで、微粉末の二酸化チタン光触媒が水溶液の中に分散。かくはんを止めると、微粉末の二酸化チタン光触媒がゼオライトの表面に再結合するという粒子形成であり、その結果、同光触媒粒子が容器の底に沈殿し、容易に水から分離することができるようになるとのことで、これにより固定型光触媒による水浄化と比べ、処理速度を難分解性有機物なら100倍、ヒ素なら50倍に高めることができるようになるという。

さらに、同触媒による水浄化は、光触媒と太陽光に含まれる紫外線のみであるため、従来の光触媒粒子では困難であった処理水中から使用済み光触媒の回収と再利用が容易になるという利点があり、太陽光を利用した小規模の独立型水浄化装置の実現につながることが期待されると同社では説明しており、今回の成果の一部を、インドのジャダプール大学との産学連携プロジェクトとして、2013年10月から水浄化システムの効果実証を行っていく予定としている。

水中に分散させた新構造の合成光触媒(左図)とヒ素の場合の反応速度比較(右図)