イーフロンティアは1日、3DCG作成ソフト「Shade」の最新版「Shade 3D ver.14」シリーズの製品発表会を行った。

国産の統合型3DCGソフトの最新版「Shade 3D ver.14」が発売された。価格(パッケージ/ダウンロード)はProfessional版が8万4,000円/7万円、Standard版が4万2,000円/3万5,000円、Basic版が1万290円/9,000円

「Shade」シリーズは、1986年に登場して以来、累計出荷数が60万本を超える国産の統合型3DCGソフト。目的や用途に応じて、ビギナー向けの「Basic」、プロクリエイター向けの「Standard」、3DCGのプロフェッショナル向けの最上位版「Professional」といったグレードが用意されており、キャラクターや建築物、立体ロゴなどの3Dオブジェクトを作成することができる。今回から、ブランド名が「Shade」から「Shade 3D」へと改名された。

Shadeで"3Dプリンタでものを作る環境"を提供

イーフロンティア 代表取締役 安藤健一氏

イーフロンティア 代表取締役 安藤健一氏は、「Shade 3D ver.14」は全グレードのソフトがWindows/Mac OSのどちらでも利用できる"ハイブリッド版"であることを強調し、近頃急速に注目の高まっている「3Dプリンタ」での制作に役立つ機能を、随時アップデータで提供していくと明言した。

現在、3Dプリンタで特に3DCGデータを出力する場合において、定義が必要となる情報が不足していたり、厚みが足らずうまく出力できなかったりすることがあり、それを解消するには高額なソフトが必要となる状況があるという。同ソフトの8月末のアップデータでは、まず「データに厚みをつける機能」の搭載を予定している。そのほかにも、面が裏返った際の対処やポリゴンの穴を埋める技術を提供予定で、同バージョンのユーザーに適宜配布していく。安藤氏は、「Shade側である程度出力に必要となる技術を搭載し、低価格プリンタを購入した方が、自分でものを作ることができる環境を提供したい」と語った。

STLフォーマットへの書き出し

テキストプリミティブ機能

テキストプリミティブによる立体文字をSTLデータで書き出してネームプレートを作った例

続いて、イーフロンティア Shade開発グループ 菅原慎也氏が同製品の新機能を紹介。3Dプリンタでの出力に必要となるSTLフォーマットへの書き出しの対応、OpenTypeとTrueTypeの両方を正式サポートしたことで多様な書体を立体化・編集できる「テキストプリミティブ」や、レンダリングの所要時間が40%短縮した「表面材質&光源の品質調整」、線形状に対して距離によりオフセットを行う「線のオフセット」機能、作品の制作途中のチェックに活用できる「立体視モニタ(偏光方式3Dモニタ)への対応」などについて、実演を交えプレゼンテーションを行った。

表面材質&光源の品質調整

このバージョンから立体視モニタ(偏光方式3Dモニタ)へ対応

線のオフセット

そのほか、会場にはSOLIZE Productsが運営する3Dプリントサービス「インターカルチャー」の協力により提供された、3Dプリンタのさまざまな出力見本が展示された。中でも、イーフロンティアが販売している、CGクリエイター・綿製タオル氏のアンロック(編集可能)データ集「-STRONG ARMS-」収録のロボットを最新版の「Shade 3D ver.14」で書き出し、インターカルチャーが出力。その塗装をバンダイなどのフィギュア原型師として知られる造形作家・安藤賢司氏が塗装を行った作品がお披露目され、制作の概要について解説された。

SOLIZE Products 営業グループ 朝倉慶子氏によれば、新バージョンからデータのSTLフォーマット書き出しが可能となったため、トラブルも起こらずスムーズに出力できたという。また、塗装を担当した安藤氏は、この作品制作の感想として、「今回は仕上げのためにやすりを使ったが、いずれ不要になると思う。将来的には(3Dプリンタの活用によって)メカものが手作業で作ることがなくなると感じた」とコメントした。

3Dプリントサービス「インターカルチャー」で出力し、造形作家・安藤賢司氏が塗装を行ったロボット

会場に展示されていた3Dプリンタ「Makerbot Replicator 2」

なお、この発表会の最後に、同ソフトの英語版が8月末にリリースされることが明かされた。まずはMac対応版をリリースし、世界市場にも最新機能を搭載したソフトを提供していくということだ。

「アポロ11号発射台」(右から2番目)、「浅草寺風洞実験模型」(右)といった大きな作品から、手のひらサイズのフィギュアまで、さまざまな3Dプリンタの出力例が展示されていた