おなじみ渋谷の交差点

東京を代表する街、渋谷・新宿・池袋。それぞれ個性が強いため、「私は渋谷派」などとひいきにしたり、つい互いの街をライバル視したりする人もいるだろう。そこで今回、それぞれの魅力について、各エリアでの街頭インタビューを実施した。

アートの香り漂う渋谷

まずは渋谷エリア。パルコや109、西武百貨店、ヒカリエなどといった大型ファッションビルが林立するこちらのエリアは、休日には10代~20代の買い物客でごったがえす印象が根強くある。とはいえ、大小様々な映画館やギャラリーも数多く有しているため、アート好きな大人にも人気。外国人観光客にも好まれるスポットだ。

では、渋谷派の声を紹介していこう。

「渋谷は賑(にぎ)やかであるだけじゃなく、少し駅から離れると松濤(しょうとう)という超高級住宅街があったりして、思いのほか落ち着いているのがいい所。劇場や美術館、映画館も多くアート的な感じがある。映画もシネマライズやル・シネマなど、こだわりの作品を見せてくれるミニシアターがあるのがいい」(30代・男性・会社員)。

「裏道に入ると路面店もオシャレ。隠れ家風のバーやカフェも多い。このおしゃれ感は新宿や池袋には絶対出せないでしょう」(20代・女性・服飾関係)。

渋谷は駅から少し歩けば閑静な街

昭和の風情も残る新宿

続いてとりあげるのは新宿。アルタやルミネ、OIOIなどのファッションビルでショッピングを楽しむ若者の姿が目立つ東口~南口エリア、ディープな大人の街・歌舞伎町、老舗ホテルやオフィスビルが立ち並ぶ西口エリアと、場所によってみせる顔が変わってくる街だ。

そんな新宿派の意見はこうだ。

「高層ビルの西口、タイムズスクエアのある南口、そして飲食店が多い東口。この多面性が新宿の魅力。副都心だし都庁もあるし、都会度ではこちらが上」(女性・30代・アルバイト)。

「歌舞伎町やゴールデン街、思い出横丁……。ちょっと怪しいけれど、昭和レトロや文学的カルチャーの香りもさせる場所が多くてホっとする。大都会なのに気どっていない」(男性・20代・大学生)。

「各駅に乗り入れる路線数をみると、新宿は渋谷、池袋に勝ってます!」(20代・女性・専門学校生)。

本屋も劇場も多い池袋

ラストを飾るのは池袋。歴史を感じる雑司が谷(ぞうしがや)エリア、アニメファンの聖地・乙女ロード、子供連れにも10代のカップルにも人気のサンシャイン水族館など、こちらも様々な側面をもち、幅広い年齢層に愛されている街だ。

その池袋派からはこんな声が。

「確かに、渋谷、新宿と比べちゃうと、つらいかな。でも、西口と東口にそれぞれデパートがあって、買い物がしやすいのが魅力。渋谷、新宿に比べるとコンパクトで移動しやすいのがなんといっても大きな魅力。安い飲食店も多いしね」(40代・男性・会社員)。

「なんやかんやいってサンシャイン。イベントも多いし、飽きません。文化的香りって言うなら、西口に東京芸術劇場があって、いい作品を豊富に上演しています」(20代・男性・フリーランス)。

「立教大学のある学生の街でもあるし、アート系の蔵書も多いジュンク堂書店やリブロもあってアカデミックな面もあると思います」(30代・女性・書店員)。

刑事物ドラマと縁が深い渋谷、新宿

太陽にほえろは西新宿が舞台

いわゆる眠らない街、新宿歌舞伎町

続いて、それぞれの街が舞台となったドラマ、映画、小説は枚挙にいとまがないが、代表的なものを挙げてみると……。

まずは渋谷が舞台のものから。映画、ドラマ、小説。ともに多すぎて挙げられないくらい。昔懐かしいトレンディドラマだと陣内孝則、浅野ゆう子主演の『君の瞳をタイホする!』(1988年 フジテレビ系)は、道玄坂警察署の刑事たちが活躍した。最近では、『ハンチョウ~神南署安積班~』(2009年~ TBS系)も渋谷が舞台だ。

また、刑事物といえば新宿というイメージも根強い。なんといってもかの『太陽にほえろ』(1972年~1987年 日本テレビ系)が西新宿を舞台としていた。その他、特に歌舞伎町、ゴールデン街が舞台の作品は数えきれないほど多い。『眠らない街・新宿鮫』(1993年製作)、『不夜城』(馳星周)といったハードな作品が多いのも特徴だ。

池袋なら、石田衣良の小説『池袋ウエストゲートパーク』がいの一番に思い浮かぶ人も多いだろう。同作品は、2000年には長瀬智也主演(TBS系)でドラマ化されて大きな話題を呼んだ。

池袋派の誇り、サンシャインシティ

池袋ウエストゲートパークにも登場した西口公園

もちろん、今回上がった以外にも、それぞれの街をプッシュするポイントはたくさんある。実際に街を歩きながら、「だからこの街に来たくなる」魅力を、是非発見していただきたい。