STMicroelectronicsは、シャットダウン状態のPCからスマートフォンなどのモバイル機器への充電を可能にするUSB充電コントローラIC「STCC5011/STCC5021」を発表した。

通常、スマートフォンなどのモバイル機器は、データをやり取りする際にPCに接続され、大半の製品がPCのUSBポートから機器の充電も同時に行っている。また、国際電気標準会議(IEC)の携帯電話用充電器の国際規格でも、USBインタフェース仕様を利用したUSB経由の充電が奨励されている。IECによると、USB経由での充電により、毎年製造される5万1000tもの過剰な充電器の削減や、モバイル機器業界の温室効果ガスの年間排出量のうち、1360万tを削減できるという。

「STCC5011/STCC5021」は、ソフトウェア制御によってシャットダウン状態にあるPCでも、USBポート経由で携帯型機器への充電を実現する。USB接続検出機能を備えており、PCがシャットダウン状態でも携帯型機器などが接続されたことを検出することができ、PC側の充電用電源回路をUSB充電のために起動させることが可能となっている。また、両製品には電流モニタ機能があり、充電完了時には電源を切断できる。

このUSB接続検出機能は、USB経由の充電における電力効率の向上とともに、USBポートがアクティブ状態で携帯型機器の接続を待っている間の消費電力が、他の充電器エミュレータの1/16で済む。このため、消費電力や通常利用時のPCバッテリ寿命への影響を最小限に抑えることが可能になる。両製品は、PCバッテリの完全な放電を回避するためのタイマ回路を備えているため、バッテリのみでPCを使用している状況でも、安全に充電することができる。

「STCC5011」は、充電電流が1Aに制限されており、Appleの「iPod/iPhone」に適している。一方、「STCC5021」の充電電流の制限値は2Aのため、「iPod/iPhone」に加え、「iPad」を充電することができる。両製品は、USBのバッテリ充電規格であるBC1.2とUSB2.0、USB3.0に準拠する他、電気電子機器廃棄物の削減と環境保護を目的として、USB経由の充電を要求する中国の通信規格YD/T 1591-2009にも準拠している。また、BlackBerry充電モードやAppleデバイダモードといった機能により、各社独自の充電器にも対応している。

なお、パッケージは3mm×3mm×0.8mmサイズの16ピンVFQFPN。価格は1000個購入時で約0.75ドル。すでに量産を開始している。

STMicroelectronicsのUSB充電コントローラIC「STCC5011/STCC5021」