厚生労働省は25日、子ども虐待による死亡事例等の検証結果(第9次報告の概要)および児童虐待相談対応件数を発表した。それによると、2012年度中に全国の児童相談所が対応した児童虐待相談件数は前年度比6,888件増の6万6,807件となり、過去最高を更新した。

児童虐待相談件数は、統計を開始した1990年以降、22年連続で増加し続けている。都道府県別に見ると、最も多かったのは大阪府で前年度比368件増の6,079件。次いで、東京都が同229件増の4,788件、千葉県が同1,573件増の3,961件、埼玉県が同306件増の3,767件、神奈川県が同512件増の2,648件となった。

児童虐待相談対応件数の推移(出典:厚生労働省Webサイト)

2011年度中に虐待を受けて死亡した児童は99人で、このうち無理心中以外で死亡した児童は58人。死亡した児童の年齢は0歳が25人(43.1%)で最多となり、0歳から2歳を合わせると39人(67.2%)に上った。

虐待の種類は、身体的虐待が38人(65.5%)、ネグレクトが16人(27.6%)。直接死因は、「頭部外傷」が15人(25.9%)でトップ。以下、「頚部絞厄以外による窒息」が8人(13.8%)、「頚部絞厄による窒息」が6人(10.3%)と続いた。

主な加害者は、「実母」が33人(56.9%)で最多。次いで、「実父」が11人(19.0%)、「実母と実父」が5人(8.6%)となった。実母の抱える問題としては、「妊婦健康診査未受診」「望まない妊娠」「若年(10代)妊娠」が多かったという。

加害の動機については、3歳未満の事例では「保護を怠ったことによる死亡」「泣きやまないことにいらだったため」が多数見られた。

無理心中で死亡した児童について調べたところ、0歳から17歳までの各年齢に分散していた。直接死因は、「中毒(火災によるものを除く)」が15人(36.6%)で最も多く、次いで「頚部絞厄による窒息」が13人(36.6%)となった。

主な加害者は、「実母」が33人(80.5%)で圧倒的に多く、次いで「実母と母方祖父母」が3人(7.3%)。加害の動機として最も多かったのは「保護者自身の精神疾患、精神不安」で14人(34.1%)となった。

2012年度に、全国の児童相談所長が家庭裁判所に対して親権停止を申し立てた件数は、17自治体で27件。法人または複数人の未成年後見人が選任を申し立てた件数は、8自治体で13件だった。

厚生労働省は国と地方公共団体に対し、養育支援を必要とする家庭の妊娠期・出産後早期からの把握、および支援保健機関(母子保健担当部署)の質の向上と体制整備、児童相談所と市町村における専門性の確保と体制整備などを進めるよう提言している。