Texas Instruments(TI)は7月24日、消費電力を80%低減できる差動アンプとして、1チャネルの「THS4531A」、2チャネルの「THS4532」を発表した。

同製品は、競合製品と比較して帯域幅を7倍、入力換算ノイズを1/4とし、消費電力の80%低減できる。用途として、試験/計測機器、デジタル/超音波方式の水流計など、消費電力と発熱が重要な要素となる低消費電力データアクイジションシステムや高電力密度機器などを想定している。

具体的には、低静止電流が0.25mA/チャネル、ゲイン帯域幅が36MHz、消費電流が250μA、ノイズが10nV/√Hz、最大オフセット電圧が0.4mV、スルーレートが200V/μsがなどの性能により、低消費電力、低歪み、低ノイズ特性を実現した。また、最大オフセット電圧が0.4mVでオープンループ電圧ゲインが114dB、さらに、オフセット電圧ドリフトが9μV/℃で、これまで高速アンプの使用が限定されていた各種機器で高精度検出とバッファ機能を実現している。これにより、データコンバータの駆動を可能にし、高精度オフセットとドリフト性能を実現した。この他、正確な出力同相モード制御、負極性電源電圧レール以下までの入力同相モード範囲、レールツーレール出力により、8チャネル24ビットΔΣ型A/Dコンバータ(ADC)「ADS1278」や、2.5V~5Vの単一電源で動作する1チャネル16ビット逐次比較型(SAR)ADC「ADS8317」など、SAR型とΔΣ型ADCとのインタフェースを簡素化した。

なお、パッケージは、「THS4531A」では8ピンSOIC、8ピンVSOP、10ピンQFNから選択できる。「THS4532」は16ピンTSSOP。価格は「THS4531A」が1000個受注時で1.21ドル、「THS4532」が同1.85ドル。

評価モジュールには、「THS4531AEVM」と「THS4532EVM」をラインナップ。各アンプの機能と汎用性の迅速かつ容易な評価を可能にする。電源、信号源、計測機器に簡単に接続できるオンボードコネクタを装備している他、差動入力、差動出力、単一電源動作向けに簡単に設定できる。また、ノードやデバイス数の制約なしに、複雑なアーキテクチャを含め、基本回路や高度な回路の設計、試験、トラブルシュートに利用できるSPICEモデルも用意している。

TIの差動アンプ「THS4531A」(1チャネル品)と「THS4532」(2チャネル品)