日本銀行は11日、金融政策決定会合を開催し、当面の金融市場調節方針を決定した。景気判断について、前月(6月)の「持ち直している」から「緩やかに回復しつつある」に上方修正した。上方修正は7カ月連続で、「回復」の表現が盛り込まれたのは2011年1月以来、2年半ぶり。

資金供給量(マネタリーベース)を年間60兆~70兆円増やす金融政策「量的・質的金融緩和」をこれまで通り継続することも、政策委員9人(総裁1人、副総裁2人、審議委員6人)の全員一致で決定した。

先行きについては、国内需要の底堅さと海外経済の持ち直しを背景に、前月までの「緩やかに回復していくと考えられる」に据え置いた。消費者物価の前年比については、「プラスに転じていくとみられる」とした。

4月に発表した2013~2015年度の「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」についても再点検。その結果、「成長率、消費者物価ともに概ね見通しに沿って推移すると見込まれる」としたものの、2014年度の消費者物価指数(生鮮食品除く)の上昇率を1.3%とし、4月の1.4%から0.1ポイント下方修正した。なお、2015年度の上昇率は1.9%の予測のままとした。

2013~2015年度の政策委員の大勢見通し(出典:日本銀行Webサイト)

輸出については、海外経済は製造部門に緩慢な動きがあるが、全体として徐々に持ち直しに向かっているとし、「持ち直している」に据え置いた、設備投資については、企業収益が改善する中で下げ止まっているとし、前月の「全体としても下げ止まりつつある」から「持ち直しに向かう動きもみられている」に上方修正した。

公共投資は増加を続けており、住宅投資は前月の「持ち直し傾向にある」から「持ち直しが明確になっている」に上方修正。個人消費については、前月までの「引き続き底堅く推移している」に表現を据え置いた。これらの内外需要を反映して、鉄工業生産は「緩やかに増加している」に上方修正。企業の景況感は「改善している」とした。

金融環境については、「飽和した状態にある」と表現。物価面では、消費者物価(生鮮食品除く)は「前年比は、足下ではゼロ%になっている」に上方修正、予想物価上昇率は「上昇を示唆する指標がみられる」に据え置いた。

一方、リスク要因として、欧州債務問題の今後の展開、新興国・資源国経済の動向、米国経済の回復ペースなどを挙げ、「日本経済をめぐる不確実性は引き続き大きい」と分析している。