日本の夏行事のひとつであるお盆。8月13日、あるいは7月13日から4日間、この期間にご先祖様や亡き近親者の霊魂を迎えて供養をします。海外にもこのような習わしというのはあるのでしょうか? 日本に住む20人の外国人に聞いてみました。

■ふたつあります。宗教的な祭りです。「イード・アル=アドハー」と「イド・アル=フィトル」です(トルコ/30代後半/男性)

イスラム教のラマダーン明けの2つの祝祭。日本では「犠牲祭」とも訳されます。正装をしてモスクに集い、所有している牛、羊、ヤギなどの家畜からいけにえを捧(ささ)げたりします。日本のお盆よりもかなり厳格で重要な意味を持つ行事と言えそうです。

■11月1日の「諸聖人の日」と11月2日の「死者の日」。前者はキリストの名において殉教して亡くなった聖人をまつるのに対して、後者は生涯を終えた一般の人をそれぞれの遺族が個人的に記念してまつる日(イタリア/30代前半/男性)

亡くなった人をまつる日ということで、日本のお盆に近い印象を受けますね。11月1日は祝日で学校はお休み、2日は通常通りだそうです。

■セマナサンタ。聖週間(ペルー/40代後半/男性)

こちらもキリスト教の行事のひとつです。イースター(復活祭)に先立つ1週間が「聖週間」とされ、キリストの復活に至るまでの受難や死に思いを寄せてまつります。時期は毎年3月末から4月下旬頃。

■あります。月のまわりに輪がある時、死んだ人のソウル(魂)が帰ってくるため、いろんなところに水をためておきます(マリ/30代前半/男性)

日本のお盆では迎え火、送り火、灯篭(とうろう)流しなど火を使って死者を迎える風習がありますが、マリでは水なのですね。

■ある。清明節という節句。お墓参りする(台湾/40代前半/男性)

4月5日の清明節、お墓を清め、線香をあげ先祖を供養する日です。日本のお盆とそっくりですね。お墓参りの際に、草むしりなどお墓周りの掃除もすることから「掃墓節」とも言われるそうです。

■ありません。その時期はみなバカンスだと思います(オランダ/30代前半/男性)

欧米では夏に長いと1カ月近いバカンスをとります。お盆休みにヨーロッパへ旅した日本人が、バカンス中でお店がほとんど閉まっててがっかりしたという話も耳にしますよね。ちなみに北欧は7月がバカンス最盛期です。

■お盆はフランスではないです。お墓参りの時に先祖に祈りを捧げることはありますが、お墓参りも毎年という頻度でもなく、かなり人それぞれバラバラです。一般的にはそこまでお墓参りはしません(フランス/20代後半/女性)

フランスでも先ほど出た「諸聖人の日」「死者の日」がありますが、捉え方は人によってバラつきがあるようですね。フランスでお墓に供えるお花は「菊」が主流なんだとか。ちょっと意外でした。

■ありません。お墓参りもしませんし、家族のお墓もありません。皆、それぞれ別々のお墓に入ります(ミャンマー/30代前半/女性)

仏教国であるミャンマーですが、お墓参りという風習はないのだそうです。先祖のお墓を訪れ、代々受け継いでゆくという観念が存在しないため、お盆のような行事は生まれないのですね。

お盆と似た風習があるという国が比較的多いようでした。日本のお盆は伝統的な風習ですが、「お盆休み」というように夏休みに近いニュアンスを感じることもあり、本来の意味で過ごすことが少なくなっているかもしれません。せめて外国人に「お盆ってどんなもの?」と聞かれた時に、きちんと答えられるようにしておきたいですね。