大日本印刷(DNP)は、雑誌に掲載された原稿やコラム、写真などのデジタルデータを記事単位で管理し、新たなコンテンツとして流通させるサービス「コンテンツビジネスバンク」を2013年8月から開始する。

スマートデバイスや電子書籍端末の普及が進み、新しいメディアとして電子書籍・雑誌への期待が高まっている。ところが、電子雑誌は紙媒体と同様に1冊単位で配信されるものが多く、興味のある記事だけを読みたいというニーズに応えられていないのが現状だ。一方、プロモーションやマーケティングの分野においては、雑誌コンテンツが持つ訴求力や信頼性などの価値が見直されているという。

DNPのコンテンツビジネスバンクは、出版コンテンツの2次流通に必要な機能を提供し、その運用を支援するサービスである。主な機能は次の通りだ。

  • 雑誌データのオンライン入稿およびコンテンツの加工指示
  • 雑誌データのマイクロ(記事単位)コンテンツ化
  • 取材時に撮影した動画や音声を活用したリッチコンテンツ化  
  • 高セキュリティ環境でのコンテンツ保管・管理  
  • DRM(デジタル著作権管理)の設定  
  • ニーズに合わせたコンテンツを抽出するためのタグ付与およびコンテンツ抽出制御機能

DNPによれば、コンテンツビジネスバンクの利用により、記事単位での配信のほか、特定の記事のみを多言語化して海外配信するサービスなどへの展開が可能となるという。

DNPでは、空港の待合室などの特定の施設や店舗で、エリアの特性に合わせた電子コンテンツをスマートフォンやタブレット端末、パソコン向けに配信するサービス「チェックインマガジン」を2012年から提供している。これまでは、利用する施設やエリアなどに合わせた雑誌コンテンツを個別に手配して提供を行ってきたが、コンテンツビジネスバンクと連携した「チェックインマガジン基本サービス」を2013年9月に開始する予定だ。

同サービスは、コンテンツビジネスバンクに記事単位でデータベース化したコンテンツを、チェックインマガジンの配信サーバを介して特定の施設や店舗に配信するもので、これらの施設などの運営企業に対して提供することになる。複数の出版社が発行している雑誌の最新号と各最新号の編集部おすすめの記事に加え、バックナンバーの記事をパッケージ化される。バックナンバーの記事は、DNPがエンタメ/ファッション/ライフスタイル/トレンド・モノ/美容&健康/グルメ&旅/ビジネス/エリアというカテゴリーに分類し、その中の4カテゴリーの記事を自由に選ぶことができる。

なおエンドユーザーは、iOSまたはAndroidに対応したデバイスにチェックインマガジン閲覧用アプリをダウンロードすれば、サービスを利用できる。