富士通研究所は、利用者のニーズに合わせた構成の物理サーバを10分で提供可能な物理IaaS基盤技術を開発したと発表した。

現在、データセンターに設置した物理サーバを提供するIaaSでは、サービス事業者がサーバの設置やサービス利用者の要求に応じてオプション構成変更を手動で行う必要がある。今回、富士通研究所が開発を進めている「資源プール化アーキテクチャー」を利用すれば、オンデマンドで物理サーバを構成し、利用者に迅速な提供が可能になるという。

従来の物理IaaSと新技術による物理IaaSのイメージ図

「資源プール化アーキテクチャー」では、CPU・メモリ・ディスクなどのハードウェアリソースを分離してプール化し、高速インターコネクトのディスクエリアネットワークを介して接続することで、利用者の要望に応じた物理サーバをオンデマンドで構成できる。

富士通研究所は今回、資源プール化アーキテクチャーと、富士通のクラウド基盤ソフトウェアである「FUJITSU Software ServerView Resource Orchestrator」 のリソースプール管理機能とを統合した物理IaaS基盤技術を開発し、試作実装した。これにより、利用者の要求に応じて、資源プール化アーキテクチャーから物理サーバを構成し、固有情報(MACアドレスやBIOS設定など)を付与して、利用者にオンデマンドで提供できる。構成したサーバへのローカルディスク追加などのオプション構成変更もオンデマンドで実施できるという。

同社では今回開発した技術を用いて、48台のサーバと512台のHDD/SSDからなるハードウェアリソースプール上に物理IaaSシステムを構築し、OS配備を含めた利用者への物理サーバ貸出を10分で完了できることを確認したという。

富士通研究所は、開発した物理IaaS基盤技術を用いた社内トライアルを7月より開始し、機能や性能を検証し、クラウドサービスの高度化に向けたさらなる研究開発を進めていく。