帝人は7月2日、樹脂が加工やさまざまな取り扱いの際に通常発生する有害なイソシアネートガスがまったく発生しない、環境にやさしい新たな耐加水分解剤を開発したことを発表した。

樹脂の耐久性向上は従来からの課題であり、ポリエステル系を中心とする樹脂の耐久性を高めるためには、一般的に耐加水分解剤としてカルボジイミド化合物が使用されてきた。しかし、カルボジイミド化合物は、樹脂と反応する際に有害なイソシアネートガスを発生することが知られており、製造現場の環境悪化などが問題となっていた。

今回開発された耐加水分解剤は、カルボジイミド化合物を使用したものだが、環状構造を有するカルボジイミド化合物を用いることで、樹脂と反応した際に有害なイソシアネートガスの発生をなくすことに成功したという。また、ポリ乳酸のほか、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリウレタン系などの汎用樹脂に対しても、それぞれの樹脂の性能を低下させることなく、より少量の添加で、従来製品に比べてより高い耐加水分解性能を付与することが可能で、樹脂の耐久性を向上させることができること、ならびに300℃以上の耐熱性を有していることが確認されており、従来品以上に、高温領域において樹脂と混錬することが可能になるという。

また、耐加水分解剤としての活用のほか、塗料やコーティング剤の粘度を調節したり、硬化させたりする架橋剤としても使用することができるという。

なお同社では、すでに展開している高耐熱性バイオプラスチック「バイオフロント」に耐加水分解性能を付与するため同剤を使用しているとしているが、今回、ほかの樹脂にも広く同様の効果を確認することができたことから、今後はすでに化審法や安衛法、REACHなど、化学物質の取り扱いに伴う法規制に対応している国内および欧州での市場展開とともに、米国、中国における法規制への対応を進めていき、2018年には年産100t規模を目指すとしている。