石川県の七不思議? 住所に「イロハ」「甲乙丙」「子丑寅」など謎の地名が

こちらは「カ」「チ」。初めて目にすると、一瞬どう発音したらいいのか戸惑ってしまう

石川県の住所には「○○市イ38-4」「○○町甲898-3」など、他の地域ではあまり見られない「イロハ」の片仮名や「甲乙丙(こうおつへい)」などの漢字がついていることがある。なぜこのような不思議な表記がされるようになったのか。また、地元の人たちはこの住所をどのように捉えているのか。石川県の興味深い住所について調べてみた。

他県ではまず見られない驚きの住所表記

まずは、実際にどんな住所表記が存在しているのか紹介していこう。県庁所在地である金沢市の磯部町(いそべまち)の地図を見ると、「イロハニホヘトチリヌルヲ」の文字が並んでいるのが確認できる。

町内には、金沢の星陵高校卒業後、オランダでプレーした本田圭佑選手の活躍を評価し、オランダの財団が金沢市に寄付した「本田圭佑クライフコート」が設置されているのだが、このコートがある金沢市民サッカー場の住所は、「金沢市磯部町ニ45番地」となっている。

金沢市磯部町。反時計回りで「イロハ」が並ぶ

金沢市乙丸町。「甲乙丙」の文字が見える

また、金沢市乙丸町(おとまるまち)では、「甲乙丙」の文字が見える。この付近の住所は、「乙丸町甲10番地」「乙丸町乙1番地」「乙丸町丙22番地」などとなっている。通常なら「1丁目」「2丁目」となりそうなところに、「イロハ」や「甲乙丙」などの表記がされている。県外の人にとっては、何とも不思議な住所に映るのではないだろうか。

金沢市乙丸町甲。通常なら「1丁目」「2丁目」となるところだ

このような住所が生まれた理由について各所を調べてみたが、はっきりした理由は分からなかった。ただ、明治6年(1873)の租税制度改革「地租改正(ちそかいせい)」による土地制度改革が影響しているという説がある。町名の統廃合をした際、便宜的に「イロハ」「甲乙丙」などと当てはめたのが、そのまま残ったようだ。

十二支や儒学用語などユニーク地名があちこちに

この石川県のユニークな住所表記は、「イロハ」「甲乙丙」だけではない。更に驚きの住所が存在する。まず、石川県の北部 七尾(ななお)市の七尾駅周辺には、「子丑寅卯辰巳午未申酉戌亥(ね・うし・とら・う・たつ・み・うま・ひつじ・さる・とり・いぬ・い)」の十二支がついた住所があり、地図内の七尾警察署の住所は、「七尾市藤橋町亥45番地1」となっている。

県中部にある宝達志水町(ほうだつしみずちょう)には、儒教で説く「五徳(ごとく)」と呼ばれる5つの徳目「仁義礼智信(じん・ぎ・れい・ち・しん)」という表現が使われていて、何だかありがたい住所になっている。

七尾駅前には、なんと「十二支」が登場

宝達志水町には、儒教の言葉が使われている

金沢市田上町(たがみまち)では、「耕地整理」と読める表現も。土地の整理をしていたから「耕地整理」となったのだろうか。県南部にある小松市の蓮代寺町(れんだいじまち)には、「ハ甲」「ル乙」など、片仮名と漢字を組み合わせたバージョンも。

金沢市田上町。よーく見ると「耕地整理」が

小松市大蓮寺町。片仮名+漢字の表記も

更に面白いのが、金沢市末町(すえまち)。ここには、数字と平仮名の「の」を組み合わせた表記がある。「数字だけでいいのでは?」と思ってしまうが、「の」も重要なのだろう。県北部にある中能登町(なかのとまち)の金丸(かねまる)駅近くには、「又」と平仮名の組み合わせも。見れば見るほど不思議な表記だ。

金沢市末町。「の」がポイントのよう

中能登町金丸駅。「又」の数がすごい

県外の人には不思議 でも石川県民にとっては当たり前

県外の人から見ると、どうにも不思議な石川県の住所表記。地元の人たちは、どう思っているのだろうか。リサーチしてみたところ、「物心ついた時から片仮名が入っていたので、疑問に思ったことはなかった」「県外でも同じような住所があるものだと思っていた」など、当たり前のように受け入れている人がほとんどだった。

ただ、「県外の友達に”甲”の入った住所を教えたら驚かれた」「通販に電話した時、片仮名入りの住所を伝えたら、”片仮名の○ですか”と不思議がられた」など、石川県独特のものだと気づいた時にはビックリしたという人が多かった。

最近は電話やメールでのやり取りが増え、年賀状などの住所もパソコンで印刷してしまうため、住所をよくよく見る機会は少ないかもしれない。でも、今度、石川県の住所を目にすることがあれば、不思議な表記がないかどうか確かめてみてほしい。石川県独特の興味深い住所に出会えるかもしれない。

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