中央大学は6月27日、生後7カ月以降の乳児が金色を認識できることが示される研究結果を得たと発表した。

同成果は、同大文学部・中央大学研究開発機構の山口真美 教授、同 楊嘉楽 機構助教、日本女子大学人間社会学部の金沢創 教授らによるもの。詳細は、科学雑誌「PLOS ONE」に掲載された。

子どもは一般的に、光るものが好きで、金色や銀色の折り紙や、金属の光沢感をもつものやキラキラしたラメ付きの男子/女子向け玩具なども多い。しかし、実際に子どもが、どのくらいの時期からこうした金色の存在に気づいて好むようになるのかについては、よく分かっていなかった。

これまで研究グループは、特定の図形パターンを好んで長く見るという乳児の性質を利用し、同時に見せた対刺激への注視時間を比較することによって乳児の認識能力を検討する手法である「選好注視法」を用いて、生後5~8カ月の乳児の「質感」の知覚に対する調査を行ってきており、そうした研究から、さまざまな見かけ上の手掛かりから3次元の立体を表象できるのが生後7カ月ころ、つまり質感の知覚はこのころに発達する可能性があることや、「光沢感」への選好が生後7カ月に発現することなどを報告していた。

そこで今回の研究では、外界にあるさまざまな質感の中でも成人にとって最も重要な「金色」への選好と認識がいつ頃発達するのかについての研究を行った。

金色は、「黄色」に「光沢感」を付加することで作られる(光沢感を加えて色の名前が変わるのは、金色と銀色だけで、金色以外の色である赤や緑に光沢感を加えても同じ色のままである)が、今回の実験では、同程度の選好を持つ黄色と緑色を用いて、黄色と緑色に光沢感を付けたときの赤ちゃんの選好の変化について選好注視法を用いて検討した。

実験の参加者は5~8カ月児24名で、最初に黄色と緑色を対にして提示し、乳児が黄色と緑色に対して同程度の選好を示すことを確認。その後、この黄色と緑色に光沢感を付加することで、金色とメタリックの緑色を作成し、対で提示する形で実験を実施。

その結果、生後7~8カ月児だけが、金色を長く注視し選好することが確認されたという。

研究グループでは、今回の成果について、7~8カ月児が成人と同じように、金色と黄色を別の色として知覚しすることを示すものであり、生後7カ月以降の乳児では金色を金色として認識していることがうかがえるとコメントしている。