西友は6月27日、オンラインショッピングサイト「SEIYU ドットコム」を6月27日午後3時にオープンし、今後、DeNA(ディー・エヌ・エー)と協働で運営すると発表した。

「SEIYU ドットコム」

同社はこれまで、実店舗から近隣エリアへ商品を配送する「ネットスーパー事業」(ネットスーパー便)は行っていたが、「SEIYU ドットコム」は、これに配送センターから商品を配送する「配送センター便」(Eコマース)を新しく加えて統合。両サービスをワンストップで利用することを可能にした。これにより、実店舗の所在地に関係なく日用品の全国配送が可能となる。ただし、冷凍食品や生鮮品など要冷食品については、「ネットスーパー便」のみの提供となる。

ネットスーパー便と配送センター便で扱う商品

ネットスーパーとEコマースの配送は別々の便となるが、送料は1個分のみとなり、購入金額5,000円以上が無料で、それ未満は一律315円となる(ただし、2013年10月31日まではオープニングキャンペーンで210円になる)。なお今後は、まとめて1回で配送することも検討していくという。

西友 ドットコム事業本部 執行役員 シニア・バイス・プレジデント 久野克宜氏

西友 ドットコム事業本部 執行役員 シニア・バイス・プレジデント 久野克宜氏は、今回、EC事業を強化した背景を、「西友は2008年よりウォルマートの完全子会社になり、ウォルマートのリテール戦略のもとに事業を進めてきた。ウォルマートの最大の武器はEDLP(Every Day LowPrice)で、お客様に良い商品を圧倒的な低価格で提供することだ。昨年は日用品2,300品目の値下げを行っており、競争が厳しい小売業の中で、4年連続既存店の売り上げを伸ばしてきた。最近のEコマースの成長は著しいが、われわれが注目するのは、主婦が毎日購入する日用品の領域だ。日用品の購入には最近大きな変化が起こっており、以前は複数の店を渡り歩いて購入するスタイルだったが、現在は共働きや介護を行っている主婦が多く、日々の買い物に時間をかけたくないというニーズが高まっている。しかしその一方で、EC市場のおける日用品市場の立ち上がりは遅く、今後大きく伸びる有望市場として期待できる。この市場において、西友が進める低価格戦略『EDLP』はべストマッチだ」と述べた。

「SEIYU ドットコム」が目指す3つの特徴

また、同氏はサイトをDeNAと協働で運営することにした理由を、「スムーズなお買い物体験を短時間で提供するには、強力なパートナーが必要だ。そこで、EC事業の経験もあり、事業展開が非常にスピーディで、モバイル分野にも強いDeNAさんを協働パートナーとして事業を進めることにした」と説明した。

「SEIYU ドットコム」のオープンに際し、DeNAは「サービス企画/チューニング」、「システム開発・運用」、「Webマーケテイング」を担当。

また、DeNAが運営する総合ショッピングサイト「DeNAショッピング」の会員IDとポイントも「SEIYU ドットコム」と共通化され、両サイトでの利用が可能となる。

DeNA 執行役員 EC事業本部 本部長 林光洋氏

DeNA 執行役員 EC事業本部 本部長 林光洋氏は、「会員IDの共通化によって、両サイト間の買いまわしを促進し、『SEIYU ドットコム』への集客にも貢献していきたい」と述べた。

林氏よれば、「SEIYU ドットコム」の開発に当たっては、食品・日用品の買い物に留意したUIにすること、ネットスーパーとEコマースをワンストップで提供すること、DeNAショッピングとのID・ポイントの共通化の3つを特に留意したという。

UIについては、日用品は平均20-30点と購入点数が多いことから、買い物カゴに入れやすくすることや、より実店舗に近い世界観を再現することに注力したという。そのため、実店舗でメモを見ながら買い物することを意識し「買い物メモでまとめて検索」機能を搭載。5つの商品を同時に検索できる。

買い物カゴ

買い物メモでまとめて検索

久野氏は、競合するAmazonや楽天にどう対抗していくのかという記者の質問に対し、「特定の業者を意識することはないが、EDLPにより低価格で商品を提供していきたい」と価格で勝負していく意向を示した。同氏は会見の中で「いつ来ても一番の低価格を目指す」と語った。

「SEIYU ドットコム」では、親会社ウォルマートの米国子会社であるウォルマートUSからの直輸入商品を集めた「アメリカンコーナー」を新設するほか、今後は医薬品なども提供し、今後3年間で10万品目まで商品を増やす予定だ。

「SEIYU ドットコム」の取り扱い商品分野

久野氏は「ドラッグストアやホームセンターも凌駕していきたい」と述べた。